第四十四幕:虹よりも七色の虹へ
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。この写真機専用の防水カバーを、いずれ購入しておいた方がいいような気がしてきた。
時崎「お待たせ!」
七夏「はい☆」
七夏ちゃんは手を差し出してくれた。
七夏「柚樹さん☆」
時崎「あ、ああ!」
七夏ちゃんに手を引かれながら、一緒に海に入る。クラゲの心配も特に無さそうだ。海の水は思っていたほど冷たくなく、とても心地が良い。七夏ちゃんはそのまま沖へと進み、胸元あたりまで海水が届く。このまま沖へ進むと足が付かなくなりそうだ。俺は大丈夫だけど、押し寄せる波の高さによっては・・・七夏ちゃん、大丈夫なのだろうか?
時崎「七夏ちゃん!」
七夏「はい☆」
時崎「もし、俺が泳げなかったら?」
七夏「それは、大丈夫です☆」
時崎「大丈夫って?」
七夏「手を繋いだら、分かります☆」
時崎「手?」
なるほど。七夏ちゃんに言われて気付く。泳げない人は、手を引っ張られると、突っ張るような反応があるからだ。以前、海に来た時の高月さんの事を思い出してしまった。
七夏「柚樹さんは、私に合わせてくれたから、大丈夫だと思いました☆」
時崎「なるほど」
泳げるかどうかを直接訊くのは、泳げない人だった場合、心を傷つけてしまうかも知れない。七夏ちゃんの少し積極的な行動にもしっかりとした意味があった訳だと、今更ながらに思ってしまう。
時崎「そう言えば、今日は持ってきてないんだね」
七夏「え!?」
時崎「浮き輪」
七夏「はい☆ 今日は海の中を泳ぎたいから☆」
時崎「海の中!?」
手を離してこちらを振り返った七夏ちゃん。碧い海に浮かぶ「ふたつの虹」は、海に落ちる光の輝きよりも眩しく思えた。
七夏「くすっ☆」
七夏ちゃんと目が合う。水中眼鏡を付けたと思ったら姿が消え、海の眩しい光だけが残った。
時崎「七夏ちゃん!?」
俺も海に潜って七夏ちゃんを追いかけようとするが−−−
時崎「あいたたっ!」
海水が目に浸みてすぐに浮上してしまった。よく考えれば、塩分を多く含んだ海水の中で目を開けるなんて困難な上、水中眼鏡無しで素潜りしても視界は良好ではないだろう。意外と気付かなかった。
七夏「柚樹さんっ☆」
少し離れた場所に七夏ちゃんを見つける。七夏ちゃんは素潜りが得意なようだ。
時崎「な、七夏ちゃん!」
七夏「ゆ、柚樹さん!」
片目を手で押さえている俺を見て、七夏ちゃんはすぐに側まで泳いで来てくれた。
七夏「柚樹さん! 大丈夫!?」
時崎「大丈夫! 海水が目に入っただけだから」
七夏「よかった☆ これ、使います?」
七夏ちゃんは水中眼鏡を指差しながら話す。
時崎「ありがとう。七夏ちゃん、素潜り得意なんだね!」
七夏「くすっ☆ でも泳ぐのは、ここちゃーの方
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