カルデア戦線異常あり!
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から二時間後にレイシフトを開始する。その二時間後にネロ帝に出てもらうから、準備しておいてくれ。……皆! 大変だろうけど踏ん張りどころだ、協力してくれ!」
はい! とスタッフ達の声が揃う。
彼らの意志は一致していた。正念場だと。休んでいる場合ではない。想像を絶する激務が待ち構えていても、彼らには元より退路がなかった。
イリヤは自分なりに腹を括る。弱音は噛み殺した。女は度胸だと持ち前の向こう見ずさで突然の実戦に飛び込む覚悟を固める。大丈夫、わたしは一人じゃないんだから、と。――自分に言い聞かせて。
ロマニはイリヤの連れていくサーヴァントに、マシュは組み込むとして、他の面子を決めようと思考を巡らせる。その前にやらねばならない事もあった。
イリヤはまだ生きているがサーヴァントの霊基を持っている。システムを弄って彼女がマスターとして正式に動けるようにしなくては――その時だった。予想だにしていなかった通信が入ったのだ。瞬時に応じたロマニは、モニターを開いた。
相手は、危機的状況にいるはずの士郎だった。
「士郎くん!?」
『……こちら、衛宮士郎だ。聞こえているか?』
「聞こえてる! それよりどうやって通信を……いやそれより無事なのか!?」
『……ダメだな、聞こえない。一方通行なのか? まあ……いいか』
ロマニの声に、士郎はまるで何も聞こえていないように頭を掻いた。染み着いた疲労が伺える。士郎にはロマニの声と姿が届いていないらしい。安定していない通信に、ロマニは本気で怒りを抱く。なんだってこんな肝心な時にばかり! と。
映像の中の士郎は見慣れた格好ではなかった。左目に当てられた黒い眼帯、そして詰め襟の軍服らしきものを着込み、露出している首から上にも無数の傷跡が新たに刻まれている。何が起こってるんだと困惑する一同に、士郎は言った。
『一応、カルデアにこちらの音声が届いているものと仮定して、報告はしておく。俺は今のところは無事だ。が、どうにもこの特異点はオカシイ。カルデアの通信機にある時計の進み方とこちらで体感している時間の流れに大分差がある。俺の体感では既に半年は経った』
「半年!?」
驚愕を置き去りに、士郎は淡々と告げた。
『いや、五ヶ月か? まあ……そこらはいいか。通信限界時間はすぐそこだ。……俺は世界の異常には敏感な質でな。念のため自身の感覚を正常にするために様々な手段を講じた。結果、俺の体感時間と特異点内の時間に差はないと判断した。
カルデアとの時間差についてだが、この特異点内は外との時間の流れにズレがあるらしい。そちらの時間で言えば二日でこっちは十年が経つか? あて推量だから正確には知らん。ただ聖剣の鞘のお蔭で、老化はかなり停滞させられている。五十年生きて五十代手前ぐらいの容姿にな
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