カルデア戦線異常あり!
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てきません!」
蒼い槍兵が帰還する。しかしオルタは最後に力尽きたのか帰還が完了する直前に消滅していた。
ロマニは絶句する。オルタは――非情なようだが、消滅してもいい。時間があれば守護英霊召喚システムの復旧は可能だ、霊基データさえ無事ならまた召喚出来る。だが、
「おい」
クー・フーリンが険しい表情で辺りを見渡す。己の主君の姿が見えないのに、鬼気迫る形相でロマニを睨んだ。
「マスターはどうしたんだ?」
「……待ってくれ」
ロマニもまた常の弛んだ空気を拭い去り、緊迫した面持ちで魔術を使用していた。カルデアに干渉し、たった今コフィンに刻まれていた術式から情報を抜き取る。そして毛先ほどの乱れも赦さぬ神業めいた魔術制御で、それをカルデアの機器に反映した。
「……よし、逆探知を! 士郎くんは特異点から別の特異点に転移させられてる、今の魔術から反応を逆算した、後は座標を特定するだけだ!」
固唾を呑んでイリヤ達は見守る。異様なまでの緊迫感に圧倒されていた。
しかし、オペレーターの女性が呻く。
「……ダメです! 特定できません!」
「なんでだ!?」
ロマニが怒号を発し、握り拳をモニターに叩きつけた。凄まじい焦りと怒気に空気が凍る。
嘗て王だった頃――そして人間になってからの日々――それらを経て、はじめて得た対等の友人が士郎だった。故に、ロマニ・アーキマンの焦りは誰にも負けないほど強い。だがそれで自分を見失う男でもなかった。
「――存在証明は?」
「継続されています!」
「意味消失だけは絶対に阻止するんだ。二十四時間体制で、交代で常に観測していてくれ。座標の特定が困難な理由は? マスターがレイシフト状態なんだ、カルデアが観測してるんだから簡単なはずだろう?」
「それが……代わりに特定されたのは別の特異点です。第四特異点が障害となっていて、その先にいるシロウさんの反応が朧気になっています」
「なんだって? じゃあ士郎くんは第五かそれ以降の特異点にいる事になるのか……」
唇を噛み締め、ロマニは意を決したのか険しい顔をしているランサー、クー・フーリンを見る。そして少女たちにも視線を向けた。
「……チッ。そういう事かよ。道理でオルタの奴がああも無茶した訳だ」
「そうだね。辛うじて士郎くんの腕が治ったのは本当に助かった。だけど予断は許されない。第四特異点の特定は済んだみたいだし、悪いんだけどイリヤちゃん……行ってくれるかな?」
それは、余りにも唐突な出動要請だった。
ギョッとしたイリヤだが、体力的にはなんら問題ない。彼女は詳しくは状況を飲み込めていなかったが、それでも士郎が危機的状況にあるのは理解していた。彼女は頷く。
「はい、行きます!」
「……ありがとう。今
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