カルデア戦線異常あり!
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ニは乱雑に書きなぐられた英文に目を通す。それは黒髭からだった。いや、ドレイクの一文もある。
黒髭からは端的に。――カルデアに喚ばれたら協力してやるぜ。まだ同盟は切れてねぇよ。
ドレイクもまた豪快に綴っていた。――ネロとかいう奴の懐に聖杯ってのを忍ばせてあるよ。気づいてないのかねぇ? 代金の胡椒の瓶詰めは、また会った時にでも寄越してくれたらいいさね。
彼ららしい、とロマニは笑い。一段落つくと、幼い少女達へと振り向く。
「桜ちゃん、イリヤちゃんと美遊ちゃん、ご苦労様。疲れただろう? 指示を出せなくてごめんね。休んでもいいよ」
「ううん、わたしはお兄ちゃんを……士郎さんをここで待ってます!」
「私も」
「……」
彼女達の眼には、既に浮き足立った色はない。地に足ついて、カルデアの当事者である事をしっかりと認識していた。
ロマニは目を瞬き、次いで微笑む。桜達を過保護に遠ざけるつもりは、既に彼にもなくなっていた。それどころではないというのが実情だが。
未だにレイシフトしたままの士郎を観測するスタッフらは、彼を信頼して待つ。定礎復元まで後1分を切ると、待ちかねたようにスタッフが声を上げた。
「魔神霊の反応ロスト!」
「マスター・衛宮士郎が魔神霊を撃破した模様! 通信が回復しました!」
「繋いでくれ!」
映像がモニターに浮かぶ。左目が潰れ、両腕が砕けている痛々しい姿の士郎が、海の中で立ち泳ぎをしている。ひっ、と短い悲鳴をあげるイリヤをよそに、士郎へロマニが手短に現在のカルデアの様子を伝える。その後、士郎がオルタの状態を伝えてくると、ロマニはアイリスフィールに視線を向けた。
聖杯の嬰児は頷き、宝具の解放準備を整える。すぐさま士郎らの退去が始まった。その最中モニターの中でオルタが士郎に魔力を送る。両腕が瞬く間に癒えるもオルタは……。
――突如、管制室に魔力反応が発生する。
「なんだ!?」
ロマニの切迫した声に、オペレーターの女性が即座に応じた。
「司令官代理、コフィンから魔術の起動を確認! シロウさんの入ってるコフィンからです!」
「……ッ? これは……転移魔術か!? マズイ、解除を――」
慌てて霊基を解放し、魔術王の姿になったロマニがコフィンに向けて走るも、そのプロテクトの頑強さは魔術王をして解除に困難を極めた。
不可視の術式は、生前の魔術王が発動した魔術に等しい強度を誇っていた。サーヴァントの霊基でしかないロマニでは、その存在に未然に気づき対処する事は出来ず、そして咄嗟の事に魔術の解除を行うのが間に合わず。
「サーヴァント・ランサー……帰還しました」
「サーヴァント・セイバー、オルタさんの――消滅を確認」
「! 司令官代理! シロウさんが帰還し
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