第三話
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さっき知り合ったばかりの僕とユウキさんの二人だけになった。
「ったく…………親父も人使いが悪い……」
「す、すいません…………」
「ミツルは悪くねえよ。新人トレーナーにいろいろ教えるのは当然のことだからな。まあ、俺もこっちに来て初めてポケモン持ったけどな」
ユウキさんはそう言いながら、ばつが悪そうに頭をかいていた。
僕の方はと言うと、ユウキさんの意外な事実に目を見開いていた。
「そうだったんですか?」
てっきり、ジムリーダーの息子なんだから、僕の歳ぐらいにはもうとっくに自分のポケモンを持っているものだと思い込んでいた。
「あぁ、まぁ……親父と色々あってな」
ユウキさんはそう言うと、さっきセンリさんが出て行った扉を忌々しそうに見ていた。最早、好感度の欠片も見当たりそうにない。
「あ、あはは…………」
僕は、笑うしか無かった。
「はぁ……さてと……んじゃま、早速ポケモン捕まえに行くか。ポケモンは、俺のを貸すよ。一番近いとこだと……百二番道路か」
ユウキさんはため息をつくと、僕の方に向き直って軽く笑いかけてきた。
「はっ、はい……!」
対する僕は、少し緊張してきていた。憧れのトレーナーになれる、待ちに待った、自分のポケモンを手に入れるという事で、興奮してきていた。
「そんな緊張すんなよ……ほら、さっさと行くぞ」
ユウキさんは呆れたように言うと、ジムの出口の方に向かって歩き始めた。
その背中は、同年代とは思えないほど、大きく見えた。
─百二番道路─
「……お前さ、ポケモンに嫌われてるんじゃねぇの?」
「はぁっ……はあっ……どうっ……かん……ですっ……」
僕らは百二番道路にやって来て、一心不乱に草むらの中を歩き回っていた。ユウキさん曰く、野生ポケモンは草むらを歩いていたら飛び出してくることがある、らしい。
しかし、かれこれ一時間近く歩き回っているけれど、一向に出てくる気配がない。
「こんな事、今まで無かったんだけどなぁ……ミツル、大丈夫か?つかれてねぇか?」
あまりにも出なかったから、僕らは近くにあった広いスペースで休憩していた。ユウキさんはピンピンしていたが、普段外を歩き回らない僕には、かなりしんどかった。
「はい……少し、落ち着いてきました」
何回か深呼吸を繰り返して、荒くなっていた息を落ち着ける。
「そっか。しかっし、いくら何でもおかしい……普通なら、草むらなんて野生のポケモンの宝庫……飛び出してこない、ならまだ分かるけど……気配も無いってのはなぁ……」
「そんなにおかしいんですか?」
「ああ。おっ……ダマキ博士が食いつくレベルだ」
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