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人理を守れ、エミヤさん!
絶望を焚べよ、光明は絶えよ
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だと、咄嗟に辺りを見渡した。
 見渡す限りの荒野である。人気はない。空には光の帯のような、これまでの特異点で見慣れたものがある。士郎はカルデアへ通信を取ろうとするも、それは途絶えていた。どういう事だと愕然とする士郎の鷹の目が――彼方に一個小隊規模の軍勢を捉えた。

 それは、鎧兜で身を固めていた。

 槍と楯。逞しく筋骨に秀でた体躯と豊かな髭。
 その姿を士郎は知っていた。他ならぬ己のサーヴァント、クー・フーリンの過去を夢で見た彼は――それ(・・)が『ケルトの戦士』である事を悟る事が出来たのだ。

「は、ぁ……?」

 いや、なんでさ……と。士郎は空を仰ぐ。

 カルデアとの繋がりはない。アラヤ識による貯蔵魔力もない。令呪はなく、サーヴァントもおらず。改造カルデア戦闘服も破損したまま。魔術回路は限界。一刻も早く休息を取らねばならない状態だ。
 なのに。

 士郎は、特異点から別の特異点に転移させられていた。













 人類の裏切り者は嗤う。彼は衛宮士郎だけは決して見くびらなかった。侮らなかった。もしやと思わせる危険性が衛宮士郎にはあったのだ。
 だが衛宮士郎の入ったコフィンの破壊は成せなかった。存外あの小娘達は健闘してくれたのだ。目障りなほどに。
 故にそれは、彼からの贈り物。破壊ではなく細やかな召喚術式の刻印を贈った。不可視のそれは、その場の全員の目を掻い潜り、感知を潜り抜けたのだ。魔術王を出し抜けるのもまた魔術王のみで――カルデアについて知悉しているフラウロスだから可能な芸当だった。

「私を招いてくれたお礼だよ。

 今度は私から招かせてもらった。

 楽しんでくれたまえ。『第五の特異点』はお前を歓迎してくれる。

 ああ、ハルファスは甘くない。せいぜい、頑張りたまえ」











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