風前の灯、少女達の戦い (後)
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ンは目前にしていた蛮神の爪に晒されるのにも構わず跳躍した。
魔神の凝視が熱線を放った。狙われたのは疑似地球環境モデル・カルデアスである。遠巻きにして、ハサンに守られていた職員が悲鳴を迸らせ、
「ッッッ!!」
アグラヴェインが身を呈してその熱線よりカルデアスを庇った。
「アグラヴェイン!?」
アルトリアが驚愕する。彼の甲冑を貫通した熱線が、アグラヴェインの胴を大きく抉っていたのだ。直前に蛮神の爪を背に浴びていた事も合わさり重大な負傷である。
だが断固としてアグラヴェインは吼えた。
「陛下ッ!」
「――!」
同じ円卓を囲った同胞である。アルトリアはその遺志を汲み取って馳せた。辺り一面無作為に迸る、魔神柱の魔の力の籠った視線を掻い潜る。
魔神柱はアルトリアにまるで注意を向けなかった。眼中にないのではなく、気にする必要はないという意識が透けて見える……。
醜悪な肉の柱を聖剣が切り裂いた。痛打を浴びせられても魔神柱はなお、無数の魔眼から夥しい熱線を発していた。アルトリアが吼える。させじと、迅速に斬り倒すと。だが魔神柱の生命力は強大だった。幾度も聖剣の斬撃を浴びても。体当たりのように桜が魔剣を突き刺しても力尽きない。
魔神柱フラウロスは分かっていた。弁えていた。単独でカルデアを打倒する事は不可能だと。勝利を目指すのは現実性の欠けた目論見だと。故に彼は、
カルデアの設備を破壊する為だけに現れたのだ。
「おぉぉぉおおお――ッッッ!」
「司令官代理に遅れるなッ!」
「させるか……!」
アグラヴェインが更に体を楯とする。死力を尽くし、命を賭けて守護する――命じるだけではない、有言実行する指揮官がいた。
カルデアスに浴びせられる熱線を悉く防ぐ。剣が熔け鎧が爆ぜると、腕を楯にし体を楯にする。
無数のハサンが、嘗めるように走る魔の視線から近未来観測レンズ・シバや、霊子演算装置・トリスメギストスを死守して消滅していく。
「は、はは、はははは――!! 英霊ともあろうものが、己を捨て石とするか!?」
魔神柱が飽きる事なく嘲笑していた。嘲り、罵り、見下し――健闘を讃える響きが根底にある。
だが苛烈な熱線は留まる事を知らない。魔神柱を基点に無限に湧くエネミーを、切嗣は迅速に処理していきながらアタランテに鋭く言った。聖剣や魔剣の斬撃を浴びる端から再生する魔神柱へ標的を変えろと。
「アーチャー、雑魚の掃討は僕に任せろッ。君は魔神柱に」
「!? だがそうなれば多勢に無勢――いや、分かった。頼むぞ!」
「『時のある間に薔薇を摘め』……!」
切嗣が再度宝具を起動する。彼の銃撃が竜牙兵を塵芥とし、ナイフで蛮神を刻む。そうしながらイリヤの背後に迫って
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