風前の灯、少女達の戦い (後)
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るのは令呪の魔力。脆い体の耐久が、少女が実戦に耐えられるように、令呪の頑強さが一時的に鎧われる。
桜の未熟な肉体には、サーヴァントの霊基は厳しすぎると聞いていた。その身を慮れる優しい思いに後押しされ、抜き放たれるは魔剣アロンダイト。小さな体には余りにも不釣り合いな剣を、桜は内なる霊基に導かれるまま握り締める。
恐怖は不思議なほどない。いや、ある。あるのに、体はまるで固くない。力強い霊基が教えてくれる。勇気の持ち方を、武器の使い方を、宝具の力を。そして如何なる精神状態であっても翳らぬ無窮の武練を。桜は大きな安堵感に包まれた。この霊基が一緒に居てくれる……優しい人が勇気を分けてくれる……わたしは、大丈夫。
魔剣を引き摺るようにして桜が走り出した。魔神柱が眼を剥く。こんなにも幼い少女があの娘と同じデミ・サーヴァントである事に少なくない驚愕と、関心を抱いたのだ。
アルトリアが囁く、「風よ――」魔霧を周囲に蔓延しないように封鎖する竜巻だ。辺りに一切の風圧を及ぼさせず、制御されたそれはエネミーを取り囲む。桜が魔剣の切っ先を引き摺りながら走り、小さな弾丸の如く竜巻を突破した。そして不慣れな気合いが口腔より迸る。一閃が竜牙兵を砕き亡霊を容易く切り裂いた。蛮神の眼が悍ましい光を発する。桜は回避しようとして、その前にアルトリアが飛び出し桜を守った。
高位の対魔力を貫いて着弾した眼光は、しかしアルトリアの堅牢な鎧に煤をつけただけだ。アルトリアは横目に桜の無事を確認する。
「イリヤスフィールとミユはコフィンを!」
「はい!」「分かりましたっ」
赤と青のカレイドステッキを握った少女達が魔法少女カレイドルビー、カレイドサファイアへと変身するや、マジカル・ルビーが奇声を発した。
『おお! 久々の! 召喚されて以降久々の出番とセリフ――』
「は……? は――ははははは!? なんだ、なんだそれは!? カルデアは一体いつから色物を混ぜ合わせた!? 面白い、笑わせてくれる。こんな人類……残す価値などないな」
失笑が溢れる。魔神柱は嘲笑っていた。少女達の奮起を、果敢に戦わんとする勇気を。
無駄だ、無駄だ、守るものがあるのだろう? 命より大事なカルデアの発明品があるのだろう? コフィンに入っている生身の者らを守らねばならないのだろう? 全てを守り抜く? 多勢に無勢だ、出来はしない。元より魔神柱フラウロスに『勝利してやろうという目的はない』
真っ先に気づいたのはアグラヴェインだった。
周囲の者に気を配るアルトリアよりも、アグラヴェインは只管に魔神柱の隙だけを伺っていたのだ。故に気づけた。
多数の魔眼の齎す破滅の魔力、その颶風。際限なく湧き出る竜牙兵をはじめとするエネミーを斬り伏せながら、アグラヴェイ
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