風前の灯、少女達の戦い (後)
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のカルデアに招待してくれたも同然なのだよ」
嘲笑する悪意。得意気に明かす真実は、堅実に敵の正体を探ろうとしたのがそもそもの間違いだと糾弾していた。
竜牙兵が不揃いなマリオネットのように関節を鳴らす。仰々しく両手を広げ、舞台役者の如くにレフは醜悪に嗤った。
「ごきげんよう、そしてさようなら、だ。お前達の旅は此処で終わる。他ならぬお前達自身の傲慢が! お前達を滅ぼすのさ!」
「――遺言はそれで終わりか? 招かれざる客、早々にお帰り願おう」
宝具『時のある間に薔薇を摘め』が起動する。
不意討つは冬木の焼き増しの如く赤いフードの暗殺者。穿つは第二宝具、魔術師殺しの代名詞足る『神秘轢断』である。雑兵悉く無視しての暗殺者の一撃は、過たずレフの背後を襲いその心臓を貫いた。ゴボと吐血したレフは、しかし。己を背後から貫くナイフの感触に刷いた笑みを絶やさない。
「アサシンか……つくづく芸のない……」
レフが斃れる。そのまま骸は魔霧に溶けて消えていく。だがレフは嗤っていた。
「莫迦め。そう何度も同じ手で私を――」
「煩い蝿だ。黙っていろ」
尚も囀ずるレフの頭蓋に、アサシンはコンテンダーの銃口を向けて発砲する。弾け飛ぶ頭部に、イリヤが短い悲鳴をあげた。アサシン……切嗣はそれにぴくりと反応するも、それだけだ。
レフが穿たれたのと同時に動き出していたアルトリアとアタランテが、竜牙兵を一掃する。そうして侵入者は撃滅され――
「ははははは! この私を一度は殺してくれたお前に、私が注意を割いていないと思ったか?」
――次の瞬間には、フィルムを逆巻いたように再生していく。
「これは……!?」
現れたのは竜牙兵だけではなかった。
低位神格を持つ、異境の民が祀る異形の蛮神。常人を遥かに超える巨躯、蝙蝠のそれに近い禍々しい翼、山羊のような捻れた大角、黒々とした皮膚。蛮人の神悪魔と呼称される怪物がいた。獅子の頭と胴、山羊の後ろ足と頭、尾として生える蛇を持つキメラが。最上位の亡霊に等しい魔性の霊、エンシェントゴーストが。
強力なエネミーが同時に多数出現したのだ。この中央管制室に。それだけではない。嘗て与しやすいと侮られていた魔神柱が今――カルデアに未曾有の大打撃を与える真の姿を明らかにする。
「顕現せよ。牢記せよ。これに至るは七十二柱の魔神なり」
居合わせた職員が、戦闘に巻き込まれる恐怖を飲み干して喚起した。医療区画より大規模な魔力反応! ――召喚魔術です! 此処に、管制室に魔神柱が!?
アグラヴェインが剣を抜く。クラスを持たないサーヴァントとはいえ、戦闘が不可能な雑兵ではない。鉄の司令塔は油断の欠片もなく
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