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魔術師ルー&ヴィー
第二章
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イギス自身がアリアに会ったことがなかったためである。
 故に、コアイギスは弟子であるルーファスに問ったのである。
「遣ってはみるが…成功するとは限らねぇぞ…。」
「それでも良い。何かしらの反応はある筈だ。」
 そう返され、仕方無しと言った風にルーファスは立ち上がって呪文を詠唱した。それはルーファスにしては長く、正式な探査魔術の呪文全八節の中に、幾つかのオリジナルの節を挿入しており、全十六節で魔術を完成させた。
 一度会った切りの人物である…彼とてその人物の足跡を辿ることは容易くはなく、いつも以上に精神を集中させていた。
 暫くの間、その場は静まり返っていた。が、不意にルーファスが瞳を開いて言った。
「ゾンネンクラール第三の都、クラウェン。」
 その答えに、マルクアーンは眉を顰めた。
「既にゾンネンクラールへと入っているのか…。クラウェンならば、旧皇家縁の屋敷や土地も多い。身を隠すには打って付けか…。」
 マルクアーンはそう言うや、軽く溜め息を洩らす。コアイギスも同様やな溜め息を洩らし、この先どう動くべきか思案している。
「あの…ここでこうしていても何も解決しません。取り急ぎゾンネンクラールへ向かう方が良いのでは…。」
 おずおずとそう口にしたのは、後からこっそりと来ていたウイツである。話があるとコアイギスから呼び出されていたのだが、先程まで街にいたため遅くなったのである。
「ウイツ、遅かったではないか。まぁ…この戦いで負傷し、家を失った者も居るだろうしな。さて、マルクアーン殿はどうされますかな?」
 ウイツの言葉に対し、コアイギスはマルクアーンがどう動くか想像は出来ていたが、敢えて答えを求めた。
 それは、マルクアーンの返答…いや、関わりの深い彼女の言葉だからこそ、次の幕開けに相応しいと考えたからであった。
「こちらから向かおう。無論、ゾンネンクラール王家には都の守りを堅める様に連絡を入れるが、二人程先行して向こうの王都に直接赴かせておくのが無難と言うもの。」
「連絡役…と言う事ですな。そうすればルーファスらも二手から連絡が入り、効率が上がると…。」
「そう言う事じゃ。念には念を入れておいた方が良い。お主の事、この国にはもう結界を張ったな?」
「はい。五人の魔術師に張らせおります。」
「結構。では、我らは明日、この都を立つことにしよう。ルーファス、ヴィルベルト、そしてウイツ言ったか。お前達もその様に支度をしておく様に。」
 そうマルクアーンが言うや、三人は各々返答をして部屋を後にしたのであった。




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