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魔術師ルー&ヴィー
第二章
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子が師匠である自分は、一体どうしたらあれ程になるのか考えるヴィルベルトだったが、考えても詮無いと妖魔を倒すことに意識を集中させたのであった。
 その最中、マルクアーンは一人王城に残り、ゾンネンクラール旧皇家について調べていた。
 マルクアーンは王の計らいにより、全ての書物…禁書までをも閲覧出来る許可を得られたため、各国の主要な皇家や王家、また公爵クラスの家系図や系譜の類を閲覧出来た。
 その中で、マルクアーンはゾンネンクラール旧皇家と現王家を見直し、先の戦の前後に不審なことが無かったかを洗い出していた。
 ふと…ある書物に、ゾンネンクラール旧皇家の系統から没落した皇族がいたことが記されていた。
 それはあのシュテットフェルト皇子の妹で、母は同じ。そのため旧皇家は戦後、彼女のために内々に良い人物を探して家を興させた。やはりシュテットフェルトのことを哀れに思っていたのであろう。
 だが、その息子はその血にそぐわぬ粗暴者で、両親が早くに逝去して以降、家を食い潰すかのような放蕩ぶりが祟り、旧皇家から絶縁されていた。
 故に、その後の血統については記されていなかったが、注記にその息子の娘アリシアに触れた記載があった。幾分新しい記入の上、どうもこの娘は要注意人物と見做されていたようである。
 娘の特徴が幾つか挙げられていたが…そこには〈この大陸では珍しく、且つ皇家の祖にしか見られなかった赤毛をしている〉とあった。
「まさか…まさかあの…。」
 この赤毛と言う点で、マルクアーンは直ぐにとある人物に思い当たった。
 一度会った切りであり、然したる会話もしなかったベズーフのギルドの受付…確かアリアと名乗っていた…。
「わしも歳だな…何故あの時気付かなんだ…!」
 そう口走ると、マルクアーンは直ぐに王の元へと向かった。
 もし…彼女がゾンネンクラール旧皇家の出自ならば、かなり力のある魔術師である可能性がある。特に、旧皇家初期に見られた赤毛の者らは皆、優れた魔術師として後世に名を残している。
 もし彼女がそうであったなら、一刻も早く見つけ出さねばならないのであるが、それでさえ最早後手と言うものであった。
 さて、マルクアーンの進言により、王は直ちにベズーフへとアリアの所在を問い合わせた。しかし、夜になって返ってきた答えは「該当の人物は現在行方が分からず、当方も足取りを追っている。」と言うものであった。
 そもそも、彼女…アリアは、マルクアーンらがゲシェンクへと渡ったその日の内に、ギルドの部屋を引き払って姿を消していたのであった。
 大分夜も更けてから妖魔の一掃は完結したが、それはコアイギスとルーファスの二人がカタリーナの館にあった召喚の陣を見つけ出して破壊出来たからである。
 しかし、これさえも計算内であったに違いないと、マルクアーンはコアイ
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