第五十話 冬休みその十
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「けれどね」
「厚かましい人だっていうの」
「いい加減でね、仕方ない子なのよ」
「そうなのね、ただね」
「ただ。何よ」
「お姉ちゃん何か悪い顔でお話してないわね」
私にこうも言ってきました。
「別に」
「そうかしら」
「ええ、何かね」
「充分嫌な顔になってると思うけれど」
「全然よ、というかね」
私にこう言ってきました。
「結構いい顔でお話してるわよ」
「いい顔って」
「そう、楽しい感じでね」
「それはないわよ、私の背のこと言ってくるし」
「小さいって」
「そうもね」
このこともどうにもです、小柄なことはいつも気にしていてもっと高くなって欲しいと思っているのです。
「言ってくるから」
「背ね、私達姉妹は三人共なのよね」
「小柄っていうのね」
「そう、お姉ちゃんも小さいし私もあの娘もね」
下の妹もというのです。
「小さいでしょ」
「クラスで並んで一番前よね」
「そう、二人共ね」
「私もなのよね」
三年生になって遂にそうなりました。
「クラスで一番前なの」
「そうよね、それであの人は大きかったわね」
「阿波野君ね、一七八あるのよ」
「本当に大きいわね」
「本人はあと十センチ欲しいって言ってるわ」
本当にこう言っています。
「一八七位になりたいって」
「それ贅沢よね」
「そうよね、ただ奥華って女の人は小さいけれど」
それでもです。
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