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ある晴れた日に
112部分:谷に走り山に走りその八
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谷に走り山に走りその八

「あるよ」
「今の人形よりも怖い話って」
「どんなんだ?」
「言ってみたら?」
 皆今度は竹山に対して言う。
「そのおっかない話」
「どんなのなんだよ」
「それじゃあ」
 皆の言葉を受けたうえで口を開く。彼はまず前置きして来た。
「この話はね」
「ああ」
「本当にあった話なんだけれどね」
「本当の話!?」
「ドイツに肉屋があったんだ」
 まず話に肉屋が出て来た。
「そこの肉は新鮮で美味しいって評判でさ」
「おい」
 ここで春華が彼に問うてきた。
「肉屋だよな」
「そうだよ」
 竹山も彼女の問いにすぐに答える。
「肉屋さんだけれど?」
「ひょっとしてあれか?」
 怪訝な、探る目で彼にまた言ってきた春華だった。
「その肉が人間の肉とか言わないだろうな」
「あれっ、わかったんだ」
「嘘だろ、それ」
 春華はすぐにその話を頭から否定してきた。
「そんなのよ。人間が人間食うのかよ」
「そうだけれど」
「そんな話あるわけねえだろ」
 彼女はまた言う。
「そんなのよ。有り得ねえっての」
「けれど本当にあった話なんだ」
 竹山の言葉は真面目そのものだった。顔も目も全く笑っていない。そんな彼の顔を見て野本は彼自身も真剣な顔になって述べるのだった。
「マジかよ」
「うん」
「わかるのかよ、それで」
「こいつがこんな顔になった時は嘘じゃねえ」
 野本は真顔で正道に答えた。
「間違いなくな。それ、本当の話なんだな」
「犯人はフリッツ=ハールマン」
 今度は名前を出す竹山だった。
「同性愛者でね。それで捕まえた美少年を食べてから」
「おい・・・・・・」
「食ったのかよ、自分も」
 皆またしても絶句した。人形の時以上に蒼白になっていた。
「その美少年の肉を」
「自分で」
「何人もね。残った部分はお店に出してね」
「うわ・・・・・・」
 中には今にも吐きそうな顔になっている者もいた。流石に衝撃が強過ぎたようだ。
「そうやって肉屋をやっていたんだよ」
「人、自分でも食ってかよ」
「ちゃんと骨も見つかったんだってさ」
 親戚の野本に対しても述べる。
「頭蓋骨とかが普通に川とかに捨ててあったりしたそうだよ」
「嘘だろ」
 春華はムキになって今の話を否定しにかかってきた。
「それはよ。幾ら何でもよ」
「信じないの?」
「信じられるわけねえだろ」
 言葉を荒くさせてきた。感情が完全に出ていた。
「人間が人間食うなんてよ。有り得ないだろうが」
「他にもげらげら笑いながら人を熱闘に投げ込んでそこからバラバラにして首をテーブルの上に置いて血まみれの部屋の中でパーティーした連中もいるよ」
「うげえ・・・・・・」
 春華はその話を聞いて冗談抜き
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