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不安が呼ぶもの
第二章

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「この世界でも起きた世界でも」
「どっちでもやな」
「避けたいですね」
「そういえばあんたのお家は」
「はい、貿易商ですから」
「商売は平和やないとな」
「出来ないですから」
 だからだというのだ。
「そうですさかい」
「戦は出来る限りやな」
「はい」
 その通りだとだ、アルフィアンはブッパースウォングに答えた。
「ない方がええですね」
「戦なんてな」
 遠い、嫌なものを見る目になってだ、ブッパースウォングはアルフィアンに話した。
「我が国もやったしな」
「ラオスもですね」
「隣のカンボジアはもっとえぐかったけどな」
「ポル=ポトもいて」
「こっちの世界ではなかったけどな」
「起きた世界ではですね」
「ラオスも色々あったさかいな」
 戦乱があったというのだ。
「嫌なもんやわ、というか最悪や」
「今は発展も軌道に乗ってきた感じがあっても」
「それでもな」
 今もと言うのだった。
「嫌な記憶や」
「ラオスの方にとっては」
「ほんまにな、それでやな」
「私もです」
「戦は嫌いやな」
「せねばならぬ戦はあっても」 
 それでもと言うのだった。
「商売の意味からでも」
「戦は嫌いやな」
「そうですさかい」
 アルフィアンはさらに話した。
「平和も大事です」
「自由で平和な国ね」
「そうした国が好きです」
「そしてシンガポールは」
「こっちの世界でも自由がないですね」
 どうにもと言ってだ、そしてだった。
 アルフィアンはブッパースウォングと共にだった、シンガポールの街を歩いて彼の神託を探した。その中で。
 堅苦しい感じのレストランに入った、そこで粛々とした感じでステーキを食べつつ二人で話をした。
「美味しいお店ですが」
「ここ東南アジアやで」
 ブッパースウォングは地域の話をした。
「起きてる世界でもや」
「東南アジアは明るく賑やかですね」
「それが魅力の地域やろ」
「そうですね、しかし」
「シンガポールはやな」
「この通りです」
「レストランもな」
 食べる場所もだ、ブッパースウォングは赤ワインを飲んだ。普段の彼以上にその仕草は気をつけているものだ。
「上品な感じで味もええけどな」
「それでもですね」
「堅苦しくてな」 
 それでと言うのだった。
「雰囲気的にな」
「ブッパースウォングさんも苦手ですね」
「そやからな」
「東南アジアなのにですね」
「アジアというか太平洋一生真面目なカラーっていう日本よりもや」
 他の国の人達からはこの世界ではこう思われている、これは起きた世界でもそうかも知れないがだ。
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