第26話『涙を勇気に変えて〜ティッタの選んだ道』
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いなのだと。
それからも、凱は異端審問で処刑されたとアルサスに知れ渡る。
それから間もなくブリューヌ全土は戦乱の渦中にさらされる。
国家反逆の集団、銀の逆星軍、誕生。
瞬く間にブリューヌの版図を塗り替えられて、銀の流星軍は壊滅との知らせを受ける。
――――ガイさんが……いない。
――――ティグル様が……いない。
でも、そんな凶報を誤報と言わんばかりに、再び『上空』から駆けつけてくれた。
それからも……それからも……それからも……
勇者の姿を思い出すたび、ティッタの瞳に熱い涙がこみ上げる。どうしてあなたは現われてくれるのですか?――と
――――そう。
――――答えは常に二つに一つ。
――――二者択一。
――――全てを巻き込んででも本当の未来を掴むために独立交易都市へ赴くか。
――――みんなの身を案じて原作展開どおりに未来を進むのか。
「行きます」
ティッタの声に、答えに、その言葉に迷いはなかった。
何もできずに燻るより、何かをして燃え尽きたほうが、ティッタにとってマシに思えるようになった。
そして、これほど強く思ったことはないだろう。「あたしはガイさんの全てを知りたい……ううん、知らなきゃいけないんだ」と。
同時にティッタの意識に、あの『声』が直接よぎった。
『そう―――あなたは知らなければいけないわ』
(誰!?)
『蒼氷星――かの宇宙庭園はあの坊やの弦の音――昏き炎の矢で『創造主』は『氷棺結界』より目覚めたわ』
(何なの!?あなたは一体!?)
『幾星霜の戦乱の中で、数多の『骸』は満たされた。『人』と『魔』……そして『力』が目覚めれば』
(分からない!分からない!)
――――と、硬直しているティッタを見て、怪訝な顔をしつつもフィーネは声をかける。
「ティッタ、大丈夫か!?なんだか突っ立ったままに見えたが」
「いえ……大丈夫です。ともかく……フィグネリアさんも一緒に行きますよね?」
先ほどの焦点定まらぬ表情とは打って変わって、何とかティッタは明るく振る舞って見せた。
「当然だ。というか、案外ガイも私たちの姿を見て安心するんじゃないか?」
「守るべき者がいるからこそ強くなれる……まあ、その辺がガイの強さの源かもしれませんね」
凱というものは幸せ者だ。
少女と美女と淑女にこれほど想われている男などそうそういない。
だが――
きっと凱は怒るだろう。凱のお願いを振って、約束を反故にした自分たちを。
それでも――かまわない。
あたしは。
私は。
わたくしは。
獅子王凱の描く物
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