第26話『涙を勇気に変えて〜ティッタの選んだ道』
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』という形で一幕を閉じることとなる。
無垢な者たちは知らない。これが半分は実録作品であることを。そして、炎の甲冑という拷問処刑を生み出したのが「カロン=アンティクル=グレアスト」だということを。
「――――ヴァレンティナ、まさかとは思うが……本当に世界は丸いのか?」
「その辺の創造はお任せします。私も決して無理に信じてくださいとは申しません。ただ――それは『虚偽』ではなく『真実』だと知っていてほしいだけなのです――――蒼氷星に辿り着く時になればわかるかもしれませんが」
そして再び幕営地を離れ、3人は何にもない平原でたたずんでいる。虚空回廊の安定環境条件はここが理想だからだ。
国際電子網の接続条件が『複数の階層』を経由して通信できるよう『共立』させているのと同じように、エザンディスの竜技、虚空回廊も、そのような過程が必要であった。『接続先』の気圧や天候が『接続元』と同等でなければ、空間を超越した扉を開いた瞬間、どちらかが決壊するからだ。例えば『接続元』の圧力が高かった場合、『接続先』へ全てが、掃除機のように吸い込まれてしまう。逆に『接続先』の環境が苛烈だった場合、『接続元』へ全てが、洪水のように流れ込んでしまう。余談だが、某猫型ロボットの『旅行扉』も原理はこの竜技と同じである。
独立交易自由都市ハウスマンから知りえた『地球儀』のおかげで、凱の行先はだいたい把握できる。ヴァレンティナは頭の中に叩き込んである『世界地図』をエザンディスへ伝わらせる。
他にも経度。緯度。座標。時差。あらゆる『情報』をエザンディスに提供し、ヴァレンティナは呪文めいた台詞とともに大鎌をくるりと回す。
持ち主の気持ちを受け取り、エザンディスの結晶素子が淡い光を帯びる。
「宇宙駆ける闇の翼よ――我を望郷の地へ誘え――虚空回廊」
目の前に開かれたゲートをくぐり、3人は亜空間の穴へ潜っていった。
潜った先は――獅子王凱の古巣であり、現代地球から今の時代へスリップした最初の地。
独立交易自由都市。
そこで待ち受ける【さらなる試練】があることは、今の彼女たち……そして凱も知る由もなかった。
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