33悪魔の所業
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罰にも近かった惑星の破滅を救うような英雄的行動、自分の命すら顧みない、運命に立ち向かって破滅を回避する行いまで消える。
破滅や運命を受け入れ、神々の罰だと言うなら唯々諾々と死んでいく、穏やかな死を選ぶ者しか存在しなくなる世界。
「さあ、パパや英霊エミヤの願いを叶えましょう」
衛宮家代々の願い、正義の味方。
多数の善良な市民を救うために、守護者のように少数の悪人を殺し続けた切嗣、英霊エミヤ。
妹を救うために、世界が滅びようとも一人の女の子を救おうとした傷あり士郎。
fate士郎も切嗣も、汚染されていた聖杯では願いを叶えることはできなかったが、アンリマユすら葬ったクロエになら、犯罪者や悪の心を持つ汚染された人類全てを殺し尽くすこともできる。
「「大聖杯よ、我が願いを叶え給え」」
グラウンドゼロから遠くまで破滅が広がるように、二人と聖杯が高い場所まで登って行く。
異世界を救う時には綺麗な花が咲き乱れ、DAICON3的に赤やピンクのお花畑が広がったが、こちらの世界では黒いチューリップのような地獄の花が開いた。
「全ての犯罪者、悪人に死を。自分が誰なのかも分からない、人を苦しめるために生まれてきた者にも死を。これから人を苦しめようとする者全てに死をっ!」
『『願いは叶った』』
聖杯からの答えがあり、クロエはどっかの最終回まどかさんみたいにアーチャーの弓から黒いオーラだとか煙を出して引き絞った。
これでほむほむが倒せなかった、物理攻撃無効のワルプルギスの夜さんでも葬れる。
「すべての悪に正義の裁きをっ!」
放たれた黒い矢は大量に分散し、この世界と異世界にばら撒かれた。
「ああ……」
美游はこれから見える地獄を見ないように目をつむり、両手で顔を覆った。
大量の死を撒き散らし、人の命を奪った身。
もう人としての幸せなど望むべくもなく、異世界の兄やお兄ちゃんと結ばれて幸せになるなどあり得ない。
多くの死を願った地獄の鬼の一人である自分にその権利は無く、両肩に伸し掛かる重みに耐えられず、きっと自殺する。
クロエのように正義を強く願える信念など持ってはいない。
地獄から伸びた多くの手が自分をいざなうのなら、その手に運命を委ねようと思った。
「ごめんなさい、お兄ちゃん」
美游は自分と兄と自分たちの世界を救ってくれた恩人の願いを叶えるため、悪魔の所業を行った。
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