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【完結】猫娘と化した緑谷出久
猫娘と回想、I・アイランド編
NO.107 回想《12》 サムの狂気と出久の背負うもの
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除をしてください。間違っても時間稼ぎなどとという考えは起こさないでくださいね? 私も必死に耐えていますが、いつヴィラン達にこの島の住人を殺してくれと命令するか、分かりません……」
「くっ……」

それで悔しそうにコンソールに向き直って必死にプロテクト解除コードを打ち込んでいくデヴィット。
それを愉悦の顔をしながら笑うサム。
そしてそれを隠れて聞いていた出久とメリッサも今にも飛び出していきたい衝動に駆られていたが、それはサムの銃がいつ暴発して、もしかしたらデヴィットの命も危ういという事になってしまうかもしれないという状況で理性を必死に抑えていた。

「(パパ!)」
「(メリッサさん、今は耐えて……! きっと、きっといつか隙が出来るから!)」

メリッサはもう涙を流していた。
デヴィットとサムの二人の関係を昔から見てきたために、信じたくないというデヴィットと同じ感情を抱きつつも、もし……もしサムが今しがた白状した事がすべて本当だったのだとしたら、サムは愛する父を誑かした悪人なのだという事実……。
それがもう許せないという一つの思い。
もし無個性ではなく個性が自身にあったのだとしたら、それをサムに向けてしまうのも構わないという危険な思想も浮かんでいた。
だが、それは自身の手を握ってくれていた出久の言葉で霧散する事になる。

「(メリッサさん……いま、個性があったら、なんて考えていなかった……?)」
「(それは……)」
「(それだけはダメだよ……。メリッサさんは言ったよね? デヴィット博士と同じように立派な科学者になりたいって……。そんなことをしちゃったらメリッサさんの夢は絶たれちゃう、そしてデヴィット博士もきっと悲しむ……。だから、そんな考えはしちゃいけない……。その握られた拳は、僕が代わりに“ヒーロー”として振り下ろすから)」
「(デクちゃん……)」

それでメリッサの中の黒い感情は次第に無くなっていく。
そして出久の事をこう思った。

『私の……“ヒーロー”……』

と。
それはまさしく意図せずに出久がメリッサの心を救った事に間違いない事であった。
そしてこうも思った。

『デクちゃんの為に出来る事をしたい……将来の夢を応援したい』

と。
それは近い将来に本当に実現するかもしれない未来予想図の一つである。
それほどにメリッサの感情は揺さぶられていた。






…………そんな、少し甘い空間が場違いで出来上がっている中で、それでも時間は過ぎて行ってついにデヴィットは最後の解除キーを打ち込んでしまった。
そして一つのブロックからなにかの解除音が鳴り響く。
それはサムの顔が一気に緩んで走り出すほどには歓喜の瞬間だったのだろう。
ブロックを開けたサムはとても嬉しそうに顔をほころ
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