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ある晴れた日に
106部分:谷に走り山に走りその二
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「勿論よ」
 にこにことしながらその未晴のところに行く。そうして彼女にそっと何かを差し出した、見ればそれは。
「はい、これ」
「ああ、これね」
「有り難う。おかげで助かったわ」
「んっ!?何だそりゃ」
 野本だけでなく丁度次々とやって来たクラスの男組が今静華が未晴に差し出したものを見る。見ればそれは。
「時計じゃねえか」
「どうしたんだよ、それ」
「借りてたの」
 静華はこう皆に答える。その時計は黒いデジタル式の腕時計だった。
「ちょっとね」
「借りてたって」
「時計をかよ」
「ちょっとこっちに持って来るの忘れて」
 ここでは少し申し訳なさそうになる静華だった。
「それでね。未晴に」
「携帯の時計機能使わなかったの?」
「そこんところはどうしたんだよ」
 凛と春華が彼女に突っ込みを入れる。
「それ使えばいいじゃない」
「携帯持ってるだろ」
「秒とかまでわからないじゃない」
 だが静華が言うのはそこまで細かかった。

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