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レーヴァティン
第九十六話 都市国家達その十三
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「今回の戦はな」
「一つ勝利が、だよな」
「百の利益を得る」
「そうした戦にすべきだよな」
「戦は出来る限りせんことや」
「金はかかるし損害はどうしても出るしな」
「こっちの世界でも百戦百勝は上の上やない」
 美奈代はこのことを強く言った。
「ほんまにな。どっちかっていうとな」
「下だよな」
「そや、上どころかや」
 まさにというのだ。
「下の方や」
「それでだよな」
「戦自体せん方がええが」
「するならだよな」
「勝ってしかもな」
「出来る限り多くの利益を得ることだな」
「そや、ほんまにせんに越したことはないが」
 それでもというのだ。
「するんやったらな」
「勝って多くの利益を得る」
「かけた金、壊したもの、死んだ人の分どころかや」
「もっと大きな利益を得ないと駄目か」
「それで屋、頼むで」
「ああ、やってくな」
 実際にとだ、久志は答えてだった。 
 残る仲間達と一時の別れの言葉を交えさせてそうして共に戦う仲間達と共にボローニャに向かった。
 その途中だ、久志は空に一羽の鳥を見て言った、
「白い鳥か」
「そうだな、とはいってもだ」
「別に特別な鳥でもないな」
「これが双頭の鷲だったらな」
 それならとだ、正は久志に話した。
「色々と思うところだったな」
「ああ、そうした鷲ならな」
「そう思うな」
「あれだよな、双頭の鷲ってな」
 その鳥についてだ、久志はこう述べた。
「ハプスブルク家の」
「そしてモスクワが出来た時もだ」
 この街もというのだ。
「上空を飛んでいるのが見えたそうだ」
「そうなんだな」
「やはり特別な鳥だな」
「恰好いいしな」
 鷲自体がそうだがそれが双頭になれば余計にというのだ。
「縁起も感じるしな」
「そうだな、しかしだ」
「あの鳥は別にな」
「見たところ鷺だな」
 その形からだ、正はこう見た。
「どうやら」
「鷺か。だったらな」
「縁起がいいか」
「そう言っていいだろ」
「日本の話だな」
 鷺、それも白鷺の縁起がいいという考えはとだ。正は久志に対して冷静な表情と口調で述べた。彼の隣から。
「それはな」
「こっちの島じゃわからないか」
「国や地域によって吉兆は変わる」
 同じものに対してもというのだ。
「烏もそうだ」
「日本じゃ八咫烏っているな」
「三本足の烏だな」
 二本だという説もある。
「あれだよな」
「そしてギリシア神話でもだ」
「アポロンの従者でな」
「悪い存在ではない」
「北欧神話でもオーディンに仕えてるな」
「狼と共にな」
 世界各地の情報をオーディンに伝えるのが役目だ。
「そうしているな」
「そうだ、だがキリスト教ではだ」
 この宗教ではというと。
「不吉な存在となる」
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