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黄金蛇
第二章

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「無理かも知れんからな」
「そうした毒にはですか」
「気をつけるんや」
「それは一体どんな毒ですか」
「身体が黄金になる毒でな」
 毒は毒でもというのだ。
「噛まれると徐々に黄金になってく」
「そんな毒がありますか」
「物凄く珍しい蛇が持ってる毒や」
 ブッパースウォングはこのことも話した。
「黄金蛇っていうな」
「黄金蛇ですか」
「知らんか」
「初耳です」
「まあここにはな」
「いない蛇ですか」
「ブラジルの方の島におるらしい」
 この国のというのだ。ブラジルと同じく十神連合の治める地域である。
「その蛇はな」
「ブラジルなら」
 そう聞いてだ、男はブッパースウォングに笑って話した。
「このラオスと離れてて」
「まあ安全やな」
「ここも毒蛇が多いですが」 
 熱い国だからどうしても多くなる、虫も蠍もだ。もっと言えば毒蜘蛛もいる。
「しかし」
「その蛇はおらんからな」
「じゃあ大丈夫ですね」
「そや、まあな」
「そうした蛇もいるということで」
「頭に入れておくことや」
 このことはというのだ。
「是非な」
「そうですか」
「そういうことでな」
 ブッパースウォングは彼に笑って話した、そしてだった。
 アルフィアンと共に神託を探して回った、だがここでだった。
 ふとだ、二人はある話を聞いた。それはあの毒に強い男のことだった。
 突如として病院に担ぎ込まれたという話があった、それでだった。
 ブッパースウォングはアルフィアンにこう言った。
「まさかと思うけどな」
「さっき話した黄金蛇ですか」
「それちゃうか」
 こう言うのだった。
「いや、ほんまにな」
「まさかって言うたら」
 アルフィアンは狐人の顔を怪訝なものにさせて応えた。
「それはほんまに」
「まさかやろ」
「はい、黄金蛇なんて」
 それこそというのだ。
「さっき御坊が言われた通り」
「そや、ブラジルの限られた島にしかおらん」
「特別な蛇で」
「あそこには他に金色の鱗の蛇もおるけどな」
「あれも強烈な毒がありますね」
「あの蛇にしても限られた島にしかおらん」
「それで黄金蛇も」
「この国におるか」
 真剣な顔でだ、ブッパースウォングは言った。
「それはな」
「まず有り得んです」
「そや、それでまさかと思うが」
「気になりますか」
「ちょっとあの男のとこ行こか」
「そうしますか」
 こうしたことを話してだ、そしてだった。
 ブッパースウォングはアルフィアンと共に男が見世物をしていた場所に行くと男の姿は既になくそこにいた若い亀人の男が言った。
「何か金色の蛇に噛ませら」
「金色のか」
「はい、急に噛まれた部分が岩から黄金になって」
 それでというのだ。
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