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ある晴れた日に
104部分:小さな橋の上でその二十
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遅かったら問題じゃない」
「そう、それだけはあってはならないわ」
 急に力説する奈々瀬だった。
「絶対にね。だったらやっぱり」
「急ぐの」
「御前等が一番足手まといなんだけれどな」
「こら、音無」
 奈々瀬が今の正道の足手まといという言葉にすぐに反応してよりによって彼が一番聞きたくない仇名で返した。怒っているのがわかる。
「その言い方はないでしょ」
「その前に御前今の仇名取り消せ」
 正道も少しばかり本気になっていた。
「他のは許せるがそれだけは許せねえぞ」
「じゃあ馬鹿正でいい?」
「今度は馬鹿かよ」
「実際に馬鹿じゃない」
 奈々瀬も実に口が悪い。顔立ちは可愛い方なのに毒舌であった。そのレベルは春華と比べてもあまり変わらない程であった。
「馬鹿も馬鹿で」
「御前な、幾ら何でも」
「言っていいことと悪いことがあるっていうの?」
「そうだよ。仇名もましなのにしろ、っていうか考えろ」
「だから。そんなこと言ってる間に」
 ここで未晴が二人の間に入って言うのだった。
「先、行きましょう」
「あ、ああそうだな」
「そうね」
 未晴が間に入って来て二人も大人しくなった。それで喧嘩も終わった・
「それじゃあ。先にね」
「何はともあれそうね」
 明日夢が微笑んで未晴の言葉に頷く。
「何よりもそれが一番」
「そうよ。言うより歩く」
「俺達が今一番しなくちゃいけないことか」
 正道もこう言って納得するのだった。
「結局のところな」
「そういうことよ」
 その彼の言葉に未晴が頷く。何はともあれオリエンテーションを楽しむ面々だった。楽しい林間学校の二日目の昼のことであった。


小さな橋の下で   完


                   2008・11・19

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