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ある晴れた日に
103部分:小さな橋の上でその十九
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はな」
 野本にも容易に想像がつく展開であった。
「そういう奴だ」
「でしょ?あんなのだけれど純情なのよ」
「すげえな、驚いて顎外れそうだぜ」
 実際にはどちらかといえば閉じられている。しかしこうした表現を使うのだった。
「人間って見かけによらねえな」
「桐生も彼女いるらしいし」
「世の中おかしいだろ」
 野本はかなり暴論を述べだした。
「あんな眼鏡がよ」
「眼鏡は眼鏡で人気あるから」
「くそっ、俺も彼女欲しいぜ」
「私もよ。彼氏欲しいわよ」
「ねえ」
 二人で何時終わるともなく不毛な話をしているところで今まで黙っていた未晴が出て来た。そうして二人に何かを差し出してきた。
「これ食べて」
「んっ!?何だこりゃ」
「キャンデー!?」
「そうよ。濃厚ミルクのね」
 見れば他の面々にもそのキャンデーを渡していた。にこにことしながら加山にも渡した。
「疲れた時には甘いものが一番だから」
「おっ、悪いな」
「有り難う、未晴」
 まずは野本と奈々瀬が未晴に礼を述べる。礼を述べながらキャンデーの包みを取ってそのうえで口の中に入れる。忽ちのうちにミルクの濃厚な甘さが口の中を支配して至福の時を演出するのだった。
 それは二人だけではなかった。正道も明日夢も加山もだった。皆その甘さを味わい笑顔になっていた。そうしてその笑顔で未晴に礼を述べるのだった。
「悪いな、何か」
「キャンデー貰って」
「有り難う、竹林さん」
「いいのよ。私もこれ貰いものだし」
「凛から?」
 最早キャンデーとくれば彼女になっていた。それだけ毎日キャンデーを舐めているということである。
「ええ、そうよ」
「やっぱり」
「私も毎日一緒に食べてるし」
 そして明日夢の言葉であった。
「けれどこのキャンデーって」
「あ、そうだな」
 正道もここで包みを見直して気付いたのだった。

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