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戦国異伝供書
第三十四話 内外を治めその十二
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「だからな」
「それ故にですな」
「是非家臣にしたい」
「殿がそう言われるなら」
「是非にじゃな」
「そうされて下さい」
「そのつもりになった」
 晴信は笑みのまま述べた。
「是非な、それとじゃが」
「それと、とは」
「信濃に進出する際じゃが」
「諏訪家の領地に進出しますが」
「さて、諏訪殿はわしの妹婿じゃが」
 それでもとだ、彼は言うのだった。
「果たしてどうすべきか」
「出来ればです」
 山本は晴信に畏まって述べた。
「高遠殿にです」
「誘いをかけてじゃな」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「諏訪殿を脅かすべきですが」
「諏訪殿をどうすべきかじゃな、わしとしてはな」
 晴信は腕を組んでそのうえで言った。
「出来ればな」
「諏訪殿はですな」
「命は救いたいが」
「はい、そう出来ればいいですが」
「果たしてどうなるか」
「それが問題じゃな」
「そう思いまする、若し諏訪殿が諏訪家の主の座にこだわり」
 そのうえでとだ、山本はさらに話した。
「諏訪大社の宮司の座にこだわられると」
「それではな」
「はい、その時はです」
「仕方ないか」
「厳しい御決断も」
「そうじゃな」
 晴信は山本に暗い顔で応えた。
「覚悟しておくか」
「その様なことも」
「ではな、しかしな」
「諏訪殿は殿の妹婿殿なので」
「ここは何とかな」
 晴信にしてもというのだ。
「血を流さずにことを収めたい」
「やはりそれが最善じゃな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「それを目指していきましょう」
「諏訪家についてはな、そしてな」
「諏訪家の次はですな」
「佐久にも兵を進めるしじゃ」
 それにとだ、晴信はさらに話した。
「そして小笠原家もな」
「倒しますか」
「うむ」
 まさにと言うのだった。
「そしてさらにな」
「北にも進みますな」
「そして木曽も手に入れてじゃ」
「後はですな」
「村上家も攻める」
 この家もというのだ。
「あの家も従わぬ様じゃしな」
「だからですな」
「あの家とも戦うな」
「そしてその時ですが」
「村上家は強いか」
「信濃で最もかと」
 強い家だというのだ。
「ですから村上家とのことがです」
「信濃をどうするかということを決めるな」
「そうしたものになるかと」
 こう晴信に話した。
「その時こそ」
「わかった、ではそこまで見据えてな」
「そうしてですな」
「そしてじゃ」
「信濃を手に入れてからもな」
「ことを進めていかれますな」
「天下泰平の為にな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 信玄はその者が来るのを待った、武田家にとっても自分にとってもそれが運命の出会いの一つになることを確信しつつ。

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