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ある晴れた日に
100部分:小さな橋の上でその十六
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「クレープとかケーキとかね」
「そういうのやっぱり作ってるの?」
「クレープは家で作ってるけれどケーキは違うのよ」
「ああ、やっぱり」
 それを聞いて納得した顔で頷く奈々瀬だった。
「そうよね。自家製って感じじゃなかったから」
「お店から仕入れてるのよ」
「お店何処?」
「山月堂」
 こう答える明日夢だった。
「そこよ」
「あれっ!?山月堂って」
「あそこじゃねえかよ」
 ここで野本も話に入って来た。
「柳本のよ」
「ええ。沙紀の彼氏の慶彦さんの家じゃない」
「実はうちもあそこと馴染みなのよ」
 今わかった真実であった。
「それでね。ケーキ仕入れさせてもらってるのよ」
「へえ、そうだったのかよ」
「そういえばそんな味だったわよね」
「けれど沙紀があそこの息子さんと付き合ってるのは知らなかったわ」
 これは明日夢の知らないことであった。どうもそこまで詳しいわけではないらしい。
「っていうか聞いてびっくりだったし」
「そうだったの」
「あそこが本来は和菓子屋さんなのは知っていたけれどね」
 流石にこれは知っていた。相手の店が何をしているのか知らないで商いをする程明日夢の家も明日夢自身も馬鹿ではないということだった。

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