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ある晴れた日に
1部分:序曲その一
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序曲その一

                     序曲
「あれ、あんた確か」
 黒髪を長く伸ばして上でも纏めた複雑な髪型をしている吊り上がったアーモンド型の目の女の子が黒いショートヘアで小柄な女の子に声をかけていた。どちらもピンクのブラウスに赤いタートンチェックのスカートをはいている。小柄な子はエンジ色にストライブのネクタイで黒髪の子は白いカーディガンを腰で巻いてエンジのストライブのリボンである。小柄な子は長袖を折っている。
「確かカラオケ屋の」
「スタープラチナの?」
「そうそう、そこだよ」
 スタープラチナと聞いて頷く黒髪の子だった。
「そこにいつもいないか?」
「いるも何もそこが私の家の店なんだけれど」
「えっ、そうなのか」
 黒髪の子は小柄な子からそのことを聞いて目をぱちくりさせた。
「あんたあの店の娘さんかよ」
「そういうあんたも結構カウンターで見るよ」
 小柄な子は笑ってこう返した。二人は今学校の教室で話をしている。ここは市立八条中央高校である。神戸市長田区八条町にある。
「お客さんでね。何人かで」
「その何人かってのはこの連中かよ」
 黒髪の子は笑って後ろを指差した。そこには何人かの女の子がいる。
「うち等は八条西中学なんだけれどな」
「私は八条東中学だけれど」
「学区だとそうなるよな」
「私北乃明日夢っていうのよ」
「また随分と変わった名前だな」
 黒髪の子は小柄な子の名前を聞いて言った。
「明日夢か」
「そういうあんたは?」
「って店に来た時にいつも名前書いてねえか?携帯の番号とか住所もよ」
「そういえばそうか」
「そうかってあんた」
 今の北乃明日夢の言葉には少し呆れた感じになっていた。
「カラオケ屋の娘でそれはやばいだろ」
「プライバシーには関わらないのよ」
 明日夢は素っ気無く答えた。
「最近何かと五月蝿いしね」
「そうか」
「大体あんただけで書いてる?」
 明日夢はそれも尋ねた。
「他の人の名前の時もあるんじゃないの?」
「まあな、それはな」
 女の子は明日夢に言われて右手を自分の頭の後ろにやって苦笑いを浮かべた。
「うちだけじゃないしな。行ってるのも書いてるのも」
「そうよね。他の娘も」
「ああ。そういえばさ」
 ここで女の子はまた明日夢に言う。
「あたしの名前言ってなかったよな」
「そうだったわね。悪いけれど書いてもらった名前とかは一週間でシュレッダーだし」
「徹底してるんだな、また」
「中には何故か他人の個人情報を狙う人間もいるけれどね」 
 世の中わからないものでそこから何かをしようという人間が実際にいる。そうした人間は絶対に信用してはならないのは言うまでもない。
「私の店は違うから」
「そうか。結構しっかりしてる
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