EX回:第72話<傷心>
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うか?
性格的に金剛にとって、ジッと耐えながらの作戦行動は拷問に近いだろう。それを越えた彼女を無下に突き放すわけにもいかないか。
だが私たちは軍人だ。規律は大切。実際、周りのブルネイの兵士たちは驚いているし、他の艦娘やブルネイ司令も苦笑していた。
「本当に、ご苦労だった……な?」
私は金剛の顔を覗き込むようにして彼女の両腕に手を沿えると、ゆっくりと引き離した。
「もう、良いだろう?」
「うっうっ……」
いつもは気丈に見える金剛の、こんな姿は初めて見る。やはり、この娘も根本的には普通の女の子だなと思う。
「おい」
「はい!」
私はそのまま、私たちの後ろで待ち構えていた比叡に声を掛けた。嬉々とした彼女、待ってました! ……とばかりに手を伸ばした。
少しは抵抗するかと思ったけと金剛は、割と大人しく比叡にしがみ付いた。
(それならさぁ、最初っから比叡に行けっての)
私は内心、ボヤいた。
直ぐにブルネイの比叡2号も来た。ダブル比叡が一緒に慰めていた。まあ比叡が二人居れば金剛の心の傷も早く癒えることだろう。
「報告します」
寛代や祥高さんから情報を受けていた日向はキビキビと敬礼をする。お前はマイペースだな。
私とブルネイ司令の前に立った彼女に私は頷いた。
日向は口を開いて淡々と報告する。
「渡河作戦中、ブルネイ鎮守府所属の龍田2号が比叡2号を庇って被弾。また、その後の敵の直接攻撃により負傷」
最初は落ち着いていたが彼女の目は次第にチラチラとブルネイの伊勢を見始めた。それが気になるのだろう。声の調子が不安定になった。
それでも平静を装った日向は報告を続ける。
「龍田2号は……轟沈は免れましたが大破状態。上陸後に直ぐブルネイ秘書官と共に鎮守府へ搬送されました。……以上です」
私も敬礼をした。
「分かった、ご苦労」
報告が終わると同時に日向は伊勢のもとへ駆け寄った。一人で立ち尽くしていた伊勢だったが近寄った日向にしがみ付くと泣き始めた。それまで何か押さえていたものが一気に噴出するようだった。
さすがの青葉さんも、その姿は写真には収めなかった。
そりゃ撮らなくても良いけど。
(私の場合は撮るのか?)
ただ苦笑するしかない。
「すぐに戻ろう」
ブルネイ司令が、あの運転手に合図しながら言った。
「リョーカイね。すぐ車、持って来るヨ」
変な敬礼をして彼も応えると重そうな体でドタドタと走って行く。
私は翻って艦娘たちに指示を出した。
「我々も直ぐに鎮守府へ戻る」
『はい!』
続けて私の横に居たブルネイ司令が付け加える。
「今回は不慣れな中、皆よく頑張ってくれた。現地司令として心から礼を言う。ありがと
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