第6章:束の間の期間
第200話「戦いに備えて」
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で打ち抜いた。
「甘い!」
「ぐっ……!」
そのまま鈴へもカウンターを放つ。
しかし、鈴はそのカウンターに対し、さらにカウンターで蹴り上げる。
辛うじて攻撃を食らう顎の前に手を滑り込ませるが、受け止めきれない。
ダメージは少ないが、優輝は仰け反ってしまう。
「そこ……!」
優輝の体勢が崩される。鈴も無理なカウンター返しで追撃は不可能だった。
ならばと、久遠が追撃を務めた。
雷を上から放ち、優輝に避けさせ、そこへ薙刀を振るう。
体勢を崩した上での二段構え。普通なら回避不可能だ。
―――導王流壱ノ型“絡手突”
「つ、う……」
薙刀が腕に絡め取られるように軌道を逸らされ、直後に貫手の反撃が繰り出される。
そう。飽くまで“普通なら”。
導王流は普通の流派ではなかった。
「ふっ!」
「っ……今のにも反応するのね」
隙を突いたつもりの矢は、攻撃の流れをそのままに繰り出された刀によって弾かれた。
鈴と那美の影式姫に至っては、創造魔法の餌食になっていた。
「終了よ。全く敵わないわね」
「そうでもないぞ。何度も危なかった」
この後久遠は無事で済まない。
それが中断の合図となり、模擬戦が終わる。
「それに、今のは僕でなければ確実に食らっていた」
「それで倒せるほど甘くはないでしょ。私でも耐え凌ぐくらいは出来るわよ」
「でも、模擬戦の目的はそうじゃないはずだろう?」
「……まぁね」
飽くまで、強くなるための模擬戦だ。
今回の場合、鈴は那美や久遠との連携を重視していた。
以前から退魔師としての仕事で連携は取っていたため、それをさらに強化していた。
結果、掛け声などを用いずに、上手く連携出来ていた。
「それぞれが、一つ一つ模擬戦でのテーマを決めて、それをこなす」
「地道だけど、明確に強くなれるわね」
ただ我武者羅に模擬戦するだけでなく、弱点の克服や長所の強化など、模擬戦においてのテーマを決めて、それをこなす。
手近な目標を立てる事で、地道ながらも着実に実力を上げていた。
時間の概念を曖昧にし、その流れを失くしたからこそ取れる、確実な強化だ。
「えっと、これで通算……何回目だっけ?」
「マーリン」
〈そうだねぇ……124回。時間で言えば六日は経ってるよ。尤も、結界の外は一日も経っていないみたいだけどね〉
時間の流れがない事を利用し、空腹や老化などの不都合な点だけを取り除いている。
厳密には、空腹などは結界の外と連動している。
まさに、ご都合主義な結界で、優輝達は多くの模擬戦をこなしていた。
「皆、躍起になってるわね」
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