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小さな腕輪
第三章
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「これでええで」
「済まんのう、お礼にな」
「お礼?ええわ」
「いや、獣とはいえ恩義はわかっている」
 オオハリネズミは自分を助けてくれたティンに強い声で言った。
「だからな」
「それでかいな」
「そうじゃ、そもそもわしは人の言葉がわかる」
「長生きしてか」
「そこまでなった、ならな」
「尚更か」
「そうしたこともわかる」
 それでというのだ。
「だからだ」
「お礼はしてくれるか」
「それで是非にだ」
「今からか」
「お礼をさせてもらいたいが」
「そこまで言うならな」
「これを持って行くのじゃ」
 こう言ってだ、オオハリネズミ身体を猫が身体の水を弾く様に大きく動かしてだ、そうしてそのうえでだった。
 身体からあるものを出した、それは何かというと。
 一本の大きな鉄の槍だった、オオハリネズミはその槍を出してからティンに話した。
「この槍を持って行け」
「あの、それがしは青魔術師で」
 職業のことからだ、ティンは獣に話した。
「槍とかそうした武器は」
「不得手か」
「持てるにしても」
「なら街に行った時にな」
「売ればええか」
「それで幾らかの金になるな」
「金にしろってことか」
 ティンはオオハリネズミの言いたいことを理解して頷いた。
「そういうことか」
「そうだ、それでお礼としたいが」
「わかった、ほなな」
「受け取ってくれるか」
「この槍は街に入った時に売ってな」
「金にするといい、そちらの神官は槍を持ってるが」
「正直鉄の槍よりもずっとええ槍や」
 ダーガーは自分の槍が神具であることは隠して獣に答えた。
「そやから悪いけどな」
「使えぬな」
「それでやな」
「売るといい、ではな」
 ここまで言ってだ、オオハリネズミはティンに頭を下げてから何処かへと去って行った。そうしてだった。
 ティンは槍を担いで冒険を再開した、その彼にダーガーが話した。
「重いやろ」
「それはそうやけどな」
「折角貰ったしか」
「それがしがな、そやからな」
「街まで持ってくか」
「それで売る」
 そうするというのだ。
「そうするわ」
「そうか、ほな街までな」
「村でもええけどな」
「槍を持ってくか」
「そうするわ」
 こう言ってだ、ティンは槍を担いでいった。そうしてダーガーと共の旅を再開したがその途中にだった。
 幾多のモンスターとの戦闘があったがティンはその中でダーガーに話した。槍はまだ彼が持っている。
「モンスターの数がな」
「普段より多いな」
「ミャンマーはジャングルでな」
「それでモンスターが多いけどな」
「それでもな」
 このことを考慮してもというのだ。
「今回多いな」
「そやな、これもな」
「腕輪の起こすトラブルか」
「そうみたいや
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