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香水と蝶
第二章

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「そもそも蝶々や芋虫がこの街に出てきたのは」
「あいつが街に来てやな」
「あの犬人の男がな」
「そう考えるとや」
 ロシティーは今度は酒を飲んだ、タイの地酒でかなり強い酒だ。
「今回の騒動はな」
「あいつが原因やな」
「そやな、如何にも胡散臭い奴やし」
「あら絶対まともな奴やない」
「外見で人を判断したらあかんけど」
 街を歩き回っていて何度も男を見た、街を高笑いしつつ我がもの顔で歩き回りつつ街の至るところにいて人の頬や頭を好き勝手に撫でて店の商品を触りまくっている。それもその手は犬人だから毛で覆われているがその毛が香水で濡れているのだ。
 そんな風なのでだ、スーンも言うのだった。
「あれはな」
「如何にもやな」
「多分本職は薬剤師やな」
「薬剤師は香水も調合出来るしな」
「その香水がな」
 まさにというのだ。
「蝶々と芋虫を引き寄せてるな」
「絶対にそやな」
「この辺りのな、タイは熱い国や」
 この世界でもこのことは同じだ。
「特にこのソンクラはな」
「タイでも南の方にあるな、まあわいの国はもっと南にあるけどな」
 ロシティーは自分の国であるインドネシアの話を様々な野菜をコリアンダーと青唐辛子と共に炒めたものを食べつつ言った。
「それでもな」
「ソンクラはタイではな」
「殊更南にあるな」
「熱いと虫は多い」
「この世界でもそやな」
「それで蝶々も多くて」
 それでというのだ。
「この街でそうした香水使ったら」
「蝶々はめっちゃ集まる」
「幼虫の芋虫もな」
「多いわ」
「そうなるな」
「となると」
「あいつを調べるか」
 スーンは結論を出した。
「そうするか」
「そやな、それからやな」
 こう話してだ、二人は犬人の男に狙いを定めた。だが男の素性は街にいては何もわかることはなかった。
「名前もおそらくですね」
「偽名やろな」
 スーンは市役所の市長室で市長に話した、ロシティーも一緒にいる。
「残念やけどな」
「そうでしょうね」
「一応名乗ってはしてるわ」
「プンサン=チャリットですね」
「けどこれはな」
「ああした者の常として」
「偽名や」
 本当の名前ではないというのだ。
「悪いことする奴は大抵本名を名乗らん」
「そこから正体がばれるのを恐れて」
「それでや」
「本名ではないですね」
「逆に本名やとな」 
 そこからというのだ。
「わかってくるもんや」
「何かと」
「そしてそこからな」
「香水と煙草のことですが」
「あれ多分薬や」
 薬剤師として調合したものだというのだ。
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