第七十二話 呂蒙、学ぶのことその一
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第七十二話 呂蒙、学ぶのこと
孫尚香がだ。右京に対して尋ねていた。
彼等は今は川辺にいる。そこで鍛錬をしていた。その中でだった。
「ねえ、右京ってさ」
「何か」
「最初随分と顔色悪かったけれど」
彼女が言うのはこのことだった。
「最近かなりよくなったわよね」
「そうですね。本当によくなりましたね」
周泰もそうだと話す。彼女もいるのだ。
「最初は雪みたいに白いお顔でしたが」
「今は赤みもさしてきてるわよね」
「はい、全く違います」
周泰は孫尚香に対して話す。
「御元気になられたのですね」
「それはいいことね」
孫尚香は素直に喜んでいる。右京のその体調のことをだ。
「そういえば冥琳もね」
「はい、あの方も最近かなり顔色が」
「そのことだが」
ここでだ。当の右京が言うのだった。
「どうやら私とあの御仁とは同じ病だったようだ」
「同じ?」
「同じ病気とは」
「私は胸を患っていた」
このことを言うのだった。
「咳をしていたな」
「そういえばそうね、時々ね」
「右京さんも冥琳さんも」
「労咳だ」
病の名前も言うのだった。
「それだったのだ」
「労咳って」
「それだったのですか」
二人もその病のことは知っていた。その病はだ。
孫尚香がだ。顔を曇らせてこう話すものだった。
「あれって死ぬ病じゃない」
「そうです。かなり危険な病です」
周泰が孫尚香に話す。
「本当に助からないような」
「そんなとんでもない病だったのね」
「うちの頃もそうやったで」
あかりもいた。その彼女が話に加わってきたのだ。
「労咳なんて。ほんまかかったら終わりやったで」
「俺の頃には治る病になってるがな」
ケイダッシュは彼の時代のことを話した。
「それでもな。まずい病気だってのは変わりないな」
「で、それがどうして治ったのよ」
孫尚香は右京自身にそのことを尋ねた。
「凄くいいことだけれど」
「ええ薬でも飲んだんかいな」
あかりはそれではないかと考えた。
「けどこの時代そんなええ薬あったかな」
「なかった筈だぜ」
銃士浪がこのことを言う。
「ちょっとな。そういうのはな」
「そのことだが」
ここで話したのは右京自身だった。
彼はだ。あの男のことを話した。
「華陀という医者だが」
「あっ、あの左右に妖怪引き連れてるあいつね」
孫尚香の華陀への認識はこれに他ならなかった。
「赤い髪の」
「そうだ、あの御仁がだ」
「あんたの病を治してくれたの」
「それでなのだ」
右京はこう話す。
「私は病から解き放たれた」
「いいことね、本当に」
孫尚香はそのことを素直に喜んでいた。
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