CAST36
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姉さんに私が負けるとでも?」
四葉姉妹がバチバチと視線を交える。
「真夜さん、深夜さん。俺はいいけど水波がチビりそうになってるからやめたげて」
「ふふ、水波さんに救われたわね真夜」
「ええ、姉殺しの汚名を被らなくて済んだわ」
白夜の斜め前の摩利が口パクで尋ねた。
(いつもこうなのか?)
(九校戦ではしゃいでるだけでしょ。今日は護衛もそんなについてないし)
(護衛?)
(深夜さんの隣の人と、俺と、達也。
それぞれ深夜さん、真夜さん、深雪さんの護衛)
(君もなのか?)
(真夜さんの護衛に頼まれてるのさ)
(そうか)
白夜の頑張りで、食事が終わる頃には『それなりに』打ち解けてはいた。
戻ってきた達也は雰囲気を察して特に何も言わなかった。
深雪と真由美のガールズトークを面白くなさそうに見ていた達也だったが、こちらはこちらで摩利と話す程度の仲にはなった。
二人とも武人の気があり、そういった所では気が合うのだ。
摩利には別の思惑もあった。
摩利が達也に相談があると、二人で少し離れた。
「何でしょうか渡辺様」
「摩利でいい。それで相談なんだが…」
そう切り出した摩利は乙女の顔をしていた。
「君は白夜君と一番近しい同性だろう? 彼の好みとかを知らないか?」
「……………………………はぁ」
と達也がため息をついた。
「摩利様、残念なお知らせがございます」
「な、なんだ」
「白夜は既に交際している女性が居ます」
「…………………………」
無言だったが、摩利の目に涙が浮かぶ。
普段強気な女性の涙という、そういう趣味の人間なら喜ぶシチュエーションだが、無論そんなものに反応する達也ではない。
そして達也は冷徹であっても鬼畜ではない。
「それと朗報です。白夜は二人の女性に迫られ、二人とも受け入れました。
チャンスはまだあるやもしれませんよ」
摩利を残して達也が戻ってくる。
「何の話してたんだ達也?」
戻ってきた達也に白夜が声をかける。
「お前の兄が好きそうな物を聞かれた。身内ではなく、一般論的に男性が喜びそうな物は何か、とな」
「ふーん」
そして唐突に、達也が白夜にデコピンを見舞った。
「ふみゃぁっっっ!?」
額を押さえる白夜。
「何すんだよいきなり!」
「ん? 何。そこにちょうどいい額があったからな」
「登山家みてぇに言ってんじゃねぇよ!?」
白夜はぎゃぁぎゃぁいっているが、真夜や真由美は達也がなぜそうしたかを察した。
「この無自覚鬼畜男の娘が」
「いわれのない罵倒だ!
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