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不幸の文
第四章
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「この街の人達に送られています」
「ならのう」
「犯人はこの街にいて」
 そしてというのだ。
「しかもこうした呪術を使う者」
「限れてるのう」
「そこまでわかれば」
「後はじゃな」
「手紙を送っている犯人を突き止めるだけです」
 この街にいる手紙に呪術を入れられる様な者をというのだ、それも相手を相当に衰弱させられるだけ強く。
 するとすぐに市街地にいる一人の呪術師が捜査線上に浮かび上がった、それはマーマンの中年男だったが。
 元から裏家業で呪術で悪事を働いていて何度も逮捕されていた、そして今回はというと。
 美奈代が碧と共に男の家に入って聞き込みを開始しようとすると呪術で攻撃しようとしたので美奈代がその術で一瞬で倒して警察に突き出し捜査を行うとだった。彼は忌々し気に話しだした。
「元々街の人達を訳なく怨んでいて」
「それでじゃのう」
「裏家業をしている傍ら」
「呪術を込めた手紙を片っ端から送っていた」
「酷い話ですね」
 美奈代は食堂で海老フライを食べつつ海老フライだけでなくひつまぶしも食べている碧に対して話した。
「ほんまに」
「全くじゃけえ」
 碧も同意した、直径一メートルはある丼の中のひつまぶしを喰らいつつ。
「今回のことは」
「幸い呪術の解き方はわかったので」
「衰弱している人達の呪いは解かれてるけえ」
「はい、言うなら今回は精神異常者の無差別犯罪ですね」
「それじゃのう」
「しかもその手紙の文章は」
 美奈代は呪術を解いたうえで読んだそれの話もした。
「何といいますか」
「まんま不幸の手紙じゃけえ」
 碧も読んでいたので言う。
「それじゃったけえ」
「左様ですね」
「全く、趣味が悪いけえ」
「本当にそうですね」
「わらわには理解出来ん趣味じゃけえ」
「私にもですよ」
 二人共誰かに無差別に呪いをかけたり不幸の手紙を送ったりはしない、それで言うのだった。
「そんなことは」
「せんのう」
「こちらの世界でもおかしな人はいますね、ですが」
 ここでだ、美奈代は。
 今自分の手に宿ったものを見た、それは何かというと。
 一本の杖だった、質素な外見で普通の木製のものに見える。だが美奈代はその杖を手に碧に話した。
「グリム童話の牧童の杖ですね」
「おお、あの知恵者ののう」
「素晴らしい知恵を常に私に授けてくれる」
「そうした神具けえ」
「はい、心の中で誰かが言ってくれています」
 こう碧に話した。
「素晴らしいものです、そして」
「神託を適えたからじゃのう」
「不幸の手紙がそれでした」
 そのことはわかった、美奈代にも。
「そのことによって私自身も全ての力がです」
「上がったんじゃな」
「一回りは」
 それだけというのだ。
「強くなりました」

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