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牛封じ
第一章
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               牛封じ
 若山茂と北房江はこの時和歌山の神託でアフリカのマリに来ていた、若山はそのマリのある街に入って述べた。
「ここはのう」
「来るとは思わなかったね」
「そうや、マリか」
「知ってか?あんた」
 房江は若山に顔を向けて尋ねた。
「こっちの世界のマリやなくてな」
「わし等の世界のマリやな」
「ああ、何かな」
「実はな」
 若山は首を傾げさせてからだ、自分が知っている彼等の世界のマリのことを話した。その全てを聞いてだった。
 房江は彼に目を瞠って返した。
「めっちゃ知ってるわ」
「そやろか」
「ああ、うちよりずっと知ってる」
「そやったらええが」
「というかあんたマリ人に友達おるんか」
「実は同じクラスにな」
「それでかいな、うちのクラスにもアフリカから来てる子おるけど」
 尚房江も若山も同じ工業科の一年である、クラスは違うが。
「これがな」
「マリとちゃうからな」
「どの国や」
「セネガルや」
 この国出身だというのだ。
「そやからな」
「マリのことは知らんか」
「あまりな」
 こう若山に答えた。
「こっちの世界のマリのことは勉強してるけどな」
「それはわしもや」
「あんたどっちの世界のマリも知ってるな」
「そうなるな、ほなな」
「ああ、今から神託があるっていうな」
「神殿行こうか」
「そうしよな」
 二人はこう話してだった、サハラ砂漠事実上他勢力との境になっているこの世界では凶悪なモンスターや獣が多く棲息しているその砂漠の入り口にあたる中央に見事なオアシスがある街に入った、そこから先は彼等の勢力も進出していない。
 そしてだ、その街の神殿に入ると。
 神殿の神官長、フランケンの老人からこう言われた。着ている服は何処かアフリカのシャーマンを思わせる。
「実はこの神殿に祀っている神から予言を受けてまして」
「どんな予言や」
「はい、この街の地下に巨大な牛が眠っているとのことですが」
「牛かいな」
「はい、この牛が目覚めて」
 そうしてというのだ。
「地の中で暴れ回るとです」
「その牛があんまり巨大でやな」
「はい、目覚めて暴れ回られますと」
 この地の中でというのだ。
「その時はです」
「地震が起こってやな」
「恐ろしいことになります」
「それでやな」
「お二方のことは聞いています」
 事前にその連絡はしていたのだ、政府の方から。
「ではです」
「ほなな」
「やらせてもらうで」
 若山だけでなく房江も答えた。
「これからな」
「是非な」
「はい、そうして頂けるなら」
 是非もないとだ、神官長も答えてだった。
 二人に牛が眠っている洞窟の場所を教えた、だがそこに行くのは二人だけではなくだった。
 若いオ
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