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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 17
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のに、貴方はどう? 自らは何も為さず為そうともせず、他人の善意に縋り、他人の善意に甘え、感謝もせず、挙句の果てには誰も助けてくれなかったと八つ当たり。申し訳無いのだけれど、貴方の何処に同情の余地があるのか、私にはさっぱり解らないわ」
 「っ何も分からない、何の力も無い子供に、縋る以外の何ができたってんだよ……っ!? あの場に居なかった赤の他人でしかないお前なんかに、オレの何が解る!?」
 「だから、解らないと言ってるでしょう? お母様の病気は、当時の中央教会でも把握していたわ。治療方法も必要な材料も揃っていた。私達にはお母様を助ける力が有った。後はただ貴方が声を上げてくれるだけで良かった。貴方が「中央教会を動かしても良い」切っ掛けさえくれれば、私達はお母様を助けに行けたのよ。その機会を自分で手放した人の気持ちなんて、どう理解したら良いのかさえ解らないわ」
 「っ!? う、嘘だ! 出鱈目を言うな!」
 「慈善事業ってね。貴方が想像してるよりも遥かに莫大な量のお金が動いてるの。つまり、それだけ多くの人間が各々意図を持って絡んでる。一見善い事に使われてるように見えるお金も、角度を変えてみたら真っ黒だった、なんて蹴落とし合いの話はザラ。その所為で、一部とは言え信仰に税金を注ぎ込まれている民衆の目は、事業内容に過敏過剰な警戒感を働かせているわ。自分達の血税が陸でもない事に使われてるんじゃないだろうな……? とね。此処まで言えば、助けを必要としない者の為に中央教会が動けば将来的にどうなるか。さすがに、想像くらいはできるでしょう?」
 「……っ……」
 「貴方は形振り構わず助けを求めるべきだった。町民でも孤児院でも中央教会でも良い。追い払われようと嫌悪の目で見られようと、とにかく「助けて」と叫び続けるべきだった。無力を自覚していたのであれば尚更。けれど結局、貴方は声を上げようともしなかった。お母様の回復を祈る振りをしながら、自分自身に何ができるかすら考えようとせず、自分が楽に生きられる道を選んだのよ。被害者面で騒ぐのは一向に構わないけれど、その点に関してはよくよく己を(かえり)みることね」

 (しがらみ)に囚われ理由が無ければ動けない強者。
 己の非力を知るが故に無条件な善意に甘えた弱者。
 目に見える範囲のみの平穏を望む民衆。

 救えた筈の命を
 本当の意味で見殺しにしたのは
 果たして誰であっただろうか?

 「それとね。勘違いしてるみたいだから、勉強をサボってばかりだった「問題児」のクァイエット君に、今回だけ特別授業してあげるわ。アリア信仰に於ける「祈り」はね。女神アリアにお願いするって意味じゃないの。女神アリアを通して自らに課した「誓い」であり、自身を奮い立たせる為の「原動力」であり、目標を達成する為の道筋を教示してくださっ
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