141一大イベント
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この場にいる全員に、糸かワイヤーのようなものが刺さり、天使の人形に心を読まれた。
(この中に、あゆちゃんを呪った奴はいるかい?)
倉田家と言えど、分家にそこまでの術者もおらず、せいぜい官公庁に潜り込んで情報収集をしたり、誘拐殺人などの汚れ仕事をして本家のご機嫌伺いだけをしてきた一党に、妖狐のハーフや夜の使い魔を殺すことなど不可能だった。
(いないみたいだよ、じゃあ、ここいいる奴らの命を僕に頂戴)
『聞いてみるね、ちょっと待ってて』
(うん)
頭の中に使い魔の声を聞かされ、震え上がる一同。
今から惨劇が始まり、伝承の使い魔に順番に食われて行き、心も体も魂までも食われて、存在自体が消滅させられる。
『当主様? 今まで当主様に逆らった者の命を私に下さい。あゆと呼ばれる女の子が、生死の境を彷徨っています、どうせ殺してしまうなら、その子に生命を食べさせてあげたいと思います』
まだ栞が当主に敬語を使い、食べられる者を反逆者に限定し、許可まで取ろうとしているので少し安心する。
全員の命をその手に掴み、無制限に食べさせてから当主に使い魔でも憑依させれば済むのを、まだ人間としての感情や価値観を持って話しているのを見て、栞がまだ人の心を持っていると信じた。
「うむ、許す、お前の思う通りにしろ」
『ありがとうございます。天使クン、座敷牢にいる人は食べていいそうよ、でも全部食べちゃだめよ、いつも通り、少し残してあげて』
(うん、ごちそうになるよ、力のある奴らだから、あゆちゃんも喜ぶよ、じゃあまた後で)
強大な使い魔の気配が消え、座敷牢の方向で悲鳴が起こった。
そこで一同は、ようやく沈黙と金縛りを解かれたが、その術は栞ではなく、天使の人形と呼ばれた使い魔が行使した術だと感じた。
やがて反逆者、女当主やその娘、孫までが座敷牢で食われ、僅かに命を残して老人のようになってから開放された。
その場で一瞬で殺されて死んだ方が遥かにマシだったという生き残り方で、生きたまま腹を裂かれて命と腸を抜き出され、あらゆる恐怖と苦痛を与えられてから、残りの人生は何かブツブツブツブツ自分と自分で会話して、延々と脳内オトモダチに自分の行為を肯定させ続け、壁に向かって震えるだけの負け犬に加工された。
他の者が引き取ると仕置きされるので、後日栞がいる市営住宅に住んで、栞の母から残飯を貰って生きるような惨めな人生が開始された。
『ご当主様、私の両親の代わりになる人と、私と姉の代わりになる人を出して下さい。襲ってきた男達を捕まえて… 天使クン、聞いてますか?』
(うん、聞いてるよ)
『私の家に来てる男達も全員食べちゃって下さい、身代わりの人が行きますから、その人達は食べないでね』
(身代わりもいらないよ、僕の仲間が行ってるから、幻術でも使っておび
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