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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十九話 自由惑星同盟の力は底知れません。
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ずに全同盟市民130億人が総力体制に入っている。
通信が切れた後、アンジェは座っていた椅子を半回転させて漆黒の彼方に目をやった。戦艦の砲撃さえはじく超強化硬質ガラスの向こうにはどこまでも続く暗黒の宇宙が広がっている。
アンジェは知っている。シャロンが進めるのは自分の意志の貫徹。そしてそのためならば誰でも、自分自身さえも躊躇なく切り捨てて邁進することを。普通、自らの欲求を満たすには誰しもが自らの生存なくしては考えないはずなのだが、シャロンは違っていた。その思いを隠すことなく躊躇なく周囲に打ち明けている。聞く者は顔色に出す出さないの意志は問わず戦慄を大なり小なり浮かべる。アンジェも例外ではない。
にもかかわらず、アンジェは誓っていた。前世からのシャロンの意志を、シャロン以上の鉄壁さをもってどこまでも貫くつもりだった。
何故そうするのかとティファニーに以前問われたことがある。その時はアンジェは何も答えなかった。答えても到底信じてもらえなかっただろうし、信じてもらおうとも思っていないから。

「それが私の――。」

 真剣味を伴ってつぶやきかけた言葉をもみ消すように、かすかな冷笑を浮かべると、

「こんなこと、並の転生者であれば絶対にできなかったでしょうよ。」

 代わりにアンジェはかすかに嫌悪感と見下すような色を言葉に込めて、他に誰もいない漆黒の空間に向けてはなった。


* * * * *

「参謀総長閣下。」

ブリュンヒルトから自らの旗艦であるヴァルキュリアにいったん戻ろうと歩を進めている彼女を背後から呼び止めた声がある。

「何かしら?」
「お忙しいことは承知しています。けれど、一つだけ聞かせてください。前線におけるあの異常な敵の熱狂のことです。」
「前線における提督たちの動揺は承知しているわ。そしてそれが水面下で徐々に波及しつつあることも。で、私に聞きたいこととは何かしら?」
「それに対するご対策を聞きたかったのです。」

バーバラがイルーナに話しかけている背後には、ルグニカ・ウェーゼル、ミュラー、ビッテンフェルト、ロイエンタール、ミッターマイヤーら諸提督が並んでいた。

「ローエングラム公の『姉君』であるあなたであればこそ、これまでローエングラム公、キルヒアイス提督、そして我々を導いてこられたのであると思っている。だが、此度の敵はあなた独りで思慮し、対策を立てられる相手であるとは我々には思えぬのです。」

 ミッターマイヤーが言った。その隣で、ロイエンタールも、

「ローエングラム公、キルヒアイス提督、そしてあなたのみが会議の出席者で、他は観劇の客であると考えられるのは、いささか珍妙な喜劇という物だ。こと、先の会議に関してはそれが顕著であったように小官には思われるが。」
「・・・・・・・
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