第四十三幕:たいせつななつの虹
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す」
凪咲「そう・・・」
凪咲さんは、それ以上何も訊いてはこなかった。このあたりは七夏ちゃんも受け継いでいるのだろうなと思ってしまう。
時崎「凪咲さん」
凪咲「はい」
時崎「七夏ちゃんの事ですけど、結局、七色の虹を七夏ちゃんに見せてあげる事は出来ないと思います」
凪咲「柚樹君、前にも話したと思うけど−−−」
時崎「分かってます! 見た人の数だけ虹の色はあるって事ですよね?」
凪咲「ええ。柚樹君には、柚樹君の虹色があって、七夏には七夏の虹色がある・・・それだけの事」
時崎「あの時、凪咲さんは話してくれましたよね? 七夏ちゃんが、七色の虹に触れたいと望むのなら、母として応援したい・・・と」
凪咲「触れる事が出来るのなら・・・ね」
時崎「っ!!!」
凪咲「柚樹君は、虹に触れる事が出来るのかしら?」
時崎「・・・・・」
凪咲「始めから分かっていた事なの」
時崎「だったら、何故あの時、俺に協力してほしいって?」
凪咲「出来ない事だと分かっていても、努力する事で得られる事は沢山あるの。もしかしたら、出来る可能性だってあるのよ」
時崎「・・・・・」
凪咲「私が協力してほしいとお願いしたから、柚樹君は七夏の為に沢山の思い出を作ってくれたのではないかしら?」
確かに凪咲さんの言葉がなければ、民宿風水にお世話になりっぱなしという後ろめたさが強くなる。だけど、七夏ちゃんの為だと思えば、ここに居る理由・・・いや、ここに居れるはっきりとした理由となる。それで凪咲さんは・・・。
時崎「・・・すみません、何も知らずに・・・」
凪咲「私は、柚樹君に感謝してるわ♪」
時崎「ありがとうございます」
そのまま居間で少し頭を冷やす。凪咲さんが冷茶を持ってきてくれた。現実と夢、現実は思っているよりも厳しい事が多い。七夏ちゃんに七色の虹を見せてあげたい・・・言うだけなら簡単だ。それが出来ないと分かっているのなら、無責任な事を七夏ちゃんに話していた事になってしまう。
時崎「七夏ちゃんに、謝るべきなのだろうか?」
??「ごめんください♪」
時崎「!」
この声は、高月さんだ。思っているよりも早く来てくれたようだ。
凪咲「いらっしゃいませ♪ 高月さん、どうぞこちらへ♪」
笹夜「お邪魔いたします♪」
ど、どおしよう・・・なんて考えている場合ではないっ! とにかく、俺も挨拶に向かう。
時崎「い、いらっしゃい! 高月さん!」
笹夜「まあ♪ 時崎さん♪ 少しご無沙汰いたしております♪」
時崎「え!? あ、ああ。こちらへどうぞ!」
笹夜「はい♪ ありがとうございます♪」
俺は、高月さんを居間へ案内した。
時崎「ど、どうぞ!」
笹夜「はい♪」
時崎「高月さん?」
笹夜「時崎さん、お先にどうぞ♪」
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