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翠碧色の虹
第四十三幕:たいせつななつの虹
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すぐに経過してしまいそうだけど、さすがにそれは無理だ。俺自身、自分の住む場所で積み残しが増えてきているから、この長い旅行も終わらせなければならない。

時崎「風水に戻ったら、この街を発つ日を七夏ちゃんと凪咲さんに話そう」

再び景色を眺める。霧は無く遠くまで見渡せるほど澄んでいるみたいだから、ブロッケンの虹が現れる可能性は低そうだ。だけど、俺はそれを分かっててここに来ている。前に見たブロッケンの虹が現れた場所を見て一礼する。

時崎「ありがとう。この場所が無かったら、大切な人との出逢いはなかったよ」

改めて、この場所の景色を撮影する。虹は見えなくても、とても充実した気分だった。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

民宿風水へ戻る途中、知っている人と出会った。

時崎「おはようございます! 直弥さん!」
直弥「あ、時崎君? おはようございます」
時崎「はい」
直弥「朝早くからお出かけだったのかい?」
時崎「はい。朝日と景色を撮影しようと思いまして。直弥さんも最近は朝早くからお仕事なのですね」
直弥「そうだね。色々と片付けが残ってて」
時崎「片付け・・・ですか? あ、すみません。お急ぎの所を」
直弥「いや、気にしなくていいよ」
時崎「いってらっしゃいませ!」
直弥「ありがとう!」

その場で直弥さんを見送る。

時崎「色々と片付け・・・か」

それは、俺にも言える事だ。この街で過ごした事が良い思い出になるように、そして、俺自身も後で悔いが残らないようにしなければ!

民宿風水の前で大切な人がお花に水をあげていた。まだ俺の事には気付いていない。その自然な様子を遠くから眺める。もっと近くで眺めたいけど、近づくと気付いて自然ではなくなってしまうかも知れない。写真機を構えて、望遠レンズのズーム機能使って寄ってみる。表情まで分かり、とても可愛くてそのまま写真も撮らせて貰った。だけど、少し申し訳ない気持ちが後味として残った。

七夏「あっ! 柚樹さん☆ お帰りなさいです☆」
時崎「ただいま! 七夏ちゃん!」
七夏「くすっ☆ あっ!」
時崎「どうしたの?」
七夏「えっと、おはようございます☆ も、一緒にです☆」
時崎「ああ、おはよう! 七夏ちゃん!」
七夏「はい☆」

やはり、俺に気付いた七夏ちゃんは、先程とは違う印象で素直に嬉しいけど、俺の知らない七夏ちゃんの表情も大切だと思う。

時崎「七夏ちゃん! 写真いいかな?」
七夏「え!? はい☆」
時崎「ありがとう!」

七夏ちゃんは写真撮影を意識してか、その場から動かず、じっとしてくれている。

七夏「・・・・・柚樹さん?」
時崎「あ、ごめん。既に撮影させて貰ったから」
七夏「そうなの?」

俺は写真機の液晶画面を七夏ちゃ
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