第四十三幕:たいせつななつの虹
[1/15]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
<i7126|41810>
意識しなくても見える事、意識しなければ見えない事、そして、意識しても見えない事・・・これが問題となる。虹は滅多に出逢い自然現象のひとつだけど、俺がこの街に来るきっかけとなった虹、「ブロッケンの虹」は、滅多に出逢えない事はないのではという想いもあった。この街に「ブロッケンの虹がよく現れる場所がある」という事前情報があったからだけど、実際2日目で出逢えている。それよりも先に「ふたつの虹」、七夏ちゃんとの出逢いがあったから今がある。つまり、七夏ちゃんを意識していたから当初の目的を達成しても、この街に留まったという事だ。もし、この街に来た初日に「ブロッケンの虹」と出逢っていたら、どうなっていたのだろうか? いや、その後の行動が同じなら、バス停で七夏ちゃんと出逢っているはずだ。ここまでは振り返れば見えるけど、見えない事もある。七夏ちゃんが虹の事をどのように見て、どのように思っているかという事。七夏ちゃんは、俺の事を気遣って、本当の想いを話さない可能性があるし、俺も七夏ちゃんを大切に思っているから、虹の事について積極的に話そうとは思わなかった。このままだと、なかなか先へ進めない。
時崎「先へ進む?」
その必要ってあるのか? 先日見た夢、七夏ちゃんが七色の虹を見て喜ぶ夢、俺の願う夢。この夢を叶えてあげたいけど、具体的な解決方法がある訳でもない。大きな虹が現れても、この前のように七夏ちゃんに悲しい思いをさせてしまう可能性だってある。表面上では笑顔でも内心がそうだとは限らない。
七夏ちゃんは、虹を見て一緒に喜びたいと話してくれた。七夏ちゃんと一緒に喜べる虹・・・最も身近な虹−−−
時崎「ふたつの虹!!!」
七夏ちゃんに最も近く、いつも俺の側に居てくれる優しいふたつの虹。偶然現れる虹ではないから、このふたつの虹を七夏ちゃんと一緒に喜べる方法はないか!?
写真では残せないし、鏡でも七夏ちゃんには伝わっていない様子だったから、そう簡単な事ではないけど、七夏ちゃんへのアルバムで「ふたつの虹」を七夏ちゃんに伝える事が出来ないだろうか。俺と同じに見える「ふたつの虹」を七夏ちゃんと一緒に見たい!
試しに作った物はあるけど、それが七夏ちゃんに伝わるかどうかは分からない。七夏ちゃんにはまだ内緒にしている事だから。
辺りが急に明るくなった。太陽の光! 俺は太陽に背を向けて写真機を構える。
時崎「現れないか・・・」
今、俺は「ブロッケンの虹」がよく現れる場所に居る。昨日、七夏ちゃんと凪咲さんには朝早くに出掛ける事を話しているけど、場所までは話していない。だけど、七夏ちゃんも凪咲さんも、俺がこの場所に居る事に気付いているかも知れないな。
初めてこの場所に来た日から1ヶ月経過している。1ヶ月も・・・このままでは、1年も
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ