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ポケットモンスター〜翠の少年の物語〜
第一話
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親からの話に目を丸くしていた。
 
「あぁ、そうだ。あそこなら空気も綺麗だし、療養には丁度いいと思うんだ。叔父さんもいるし、心配はないしな」
 
 机を挟んで対面に座る父さんはそう言って、僕の顔をじっと見つめていた。
 
「どうかしら?そりゃあ、不安はあるかもしれないけど──」
「いや、大丈夫だよ。叔父さんもミチルさんも居るんだし、ね?」
 
 僕は母さんの言葉を遮りながら言った。ミチルさんと言うのは、僕の従姉妹に当たる人だ。
 
「そう……か。なら、引っ越しの準備をしないとな」
 
 父さんは溜息をつくと、実に寂しそうな顔をしていた。本当に寂しいのは、父さんと母さんの方なんだろうな、と考えた。
 僕も、当然ながら寂しいのは寂しいけど……正直な話、トウカシティから離れられるのなら、万々歳だ。
 
「……なぁ、ミツル。お前ももう十歳、だよな?」
「え?うん……そうだけど……」
 
 つい先月に誕生日を迎えたばかりの僕は、晴れて十歳になっていた。
 すると、父さんはゴホンと咳払いをすると、これまた真剣な表情で僕の顔をじっと見た。

「どうだ?ポケモンが欲しくないか?」

 その言葉を聞いて、僕は再び目を丸くした。
 ポケモン。正式名称、ポケットモンスター。
 この世界に居る不思議な存在で、何百種類と存在している。人々はそんなポケモンと共存して暮らしている。
 そんな中でも、ポケモンをモンスターボールで捕まえて仲間にしている人の事を、ポケモントレーナーと言う。
 
「実は、この街のジムリーダーのセンリさんにも相談しててな……お前さえよければ、野生のポケモンを捕まえる手伝いをしてくれる事になったんだが……ど」
「欲しいっ!」
 
 父さんが僕に問い掛けてくるより早く、僕は椅子から勢い良く立ち上がりながら叫んだ。
 二人とも、そんな僕の様子に目を丸くしていた。これまで大人しい性格だと自他ともに認めていたから、初めてこんな大声を出した僕に驚いたのだろう。
 それほど、僕は『トレーナー』に憧れていた。
 
「うっ……ゲホッ、ゲホッ!」

 しかし、慣れないことをした代償はあったようで、胸が苦しくなって来てしまった。気管がぎゅっと狭くなっている気がした。

「ミツル!?大丈夫か!?母さん、薬を!」
「はい、ミツル。大きく吐いてー、はい、吸ってー?」
「……はー……すぅー……はぁ、はぁ……」

 少し落ち着いた僕は、何度目か分からないけど、自分の体を憎んだ。何度来ても、喘息の陸で溺れるような感覚はなれることは無い。

「……ありがとう」
「あぁ……しかし、珍しいな。そこまで大声出すなんて」

 父さんは本当に不思議そうに僕の顔を覗き込んでいた。

「うん……やっぱり、いつかは
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