暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン6 黄金に輝く太陽の炉心
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ー・マドンナ 攻2300→ソーラー・ジェネクス 攻0
 青木 LP2000→0





「『ハア、ハア……それでは魔界劇場第二幕、これにて終演と相成ります。大いなる海、そして偉大なる空へとその名を刻んだ魔界劇場第三幕、開演をしばしお待ちください!』」

 特大ダメージでのワンショットキルを狙いに来ていた1戦目とは打って変わって、細かなダメージを積み重ねての勝利を狙われた今回の戦い。辛くも勝利したものの、この2つの戦いを経たその代償は決して軽くない。あちこちにできた軽度の火傷痕、そして打撲……どこもかしこも痛みを訴える体を強いて動かし、観客の前でゆっくりと一礼する。そのまま裏手に引っ込もうとしたところで、倒れたままの青木がわずかに呻く様子が彼の目に入った。

「う、うう……」
「ほれ、立てますか?」

 さすがに見捨てるわけにもいかず、いいから早く休ませろとストライキを起こす全身を無理に引っ張ってそちらへと向かわせる。ただでさえ頼りなく見えたそのスーツ姿の中年の姿は敗者となった今よりいっそう小さく、そして弱いものに見えた。
 差し出した手をどうにかといった様子で握り返され、そのまま上に引っ張って親子ほどに年の離れた男の体を起こす。

「ああ、ありがとう。このデュエル私の完敗だ、君に敬意を表そう」

 そう言ってデュエルディスクに乗ったままのカードを1枚ずつ取り外しては、自らのデッキに戻していく青木。最後に残った1枚、傷だらけのソーラー・ジェネクスを大切そうにそっと眺め、愛おしげに指で撫でるその姿を前に、鳥居は知らず知らずのうちに一礼していた。それと同時に、なぜあの口が悪い女上司がこの男に対してはいつもの毒舌も控えめだった理由も理解する。
 彼女は鳥居に言わせれば、彼のタイプでこそないものの客観的にはまあ見てくれだけはそれなりの三十路で、口も性格もお世辞にもいいものではない。しかし、彼女の人を見る目に関しては彼も一目置いていた。

「……?」
「俺の方こそ、あなたに敬意を表させてください。あなたのカードを愛する心は、確かに本物です」
「そうか。ありがとう。決勝戦、影ながら応援しているよ」

 今度は青木の側から差し出された手を、力を込めて握り返す。この裏デュエルコロシアムも、ついにあと1戦を残すのみ。
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