暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン6 黄金に輝く太陽の炉心
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それではここまでの激闘に敬意を表し、ジェネクスの皆様を私たちの劇場へとご案内いたしましょう。フィールド魔法、魔界劇場「ファンタスティックシアター」を発動いたします!』」

 そう宣言した瞬間、コウモリをかたどったオレンジ色の風船が一斉に空に浮かんだ。風もないのに同じ方向へと流れていく風船たちの向こうでは花火が上がり、クラッカーが弾け、どこからともなく楽しげな音楽を奏でる楽団の音色が会場に響く。スポットライトが舞台を照らし、色とりどりのネオンが彩る。
 ここはまさに、魔界劇団による魔界劇団のための劇場。糸巻の領土がアンデットワールドというのならば、このファンタスティックシアターこそはまさしく彼の本拠地だった。

「こ……これは……!」
「『それでは皆様お待ちかね。リバースカードオープン、魔界台本「魔王の降臨」!攻撃表示で存在する魔界劇団の数までフィールドのカードを選択し、魔王の暴威でそのまま破壊!ヴィンディカイト及びアンガー・ナックルのご両名は、これにて退場と相成ります』」

 女勇者の格好のままのメロー・マドンナの横で、ビッグ・スターが以前と同じく漆黒のマントを体に巻き付ける。再び走り始めたニゲ馬車による人馬一体の突撃は緑色の戦闘機が張ったバリアをものともせずに突き破り、そのままの勢いで隣にいた腕の生えた列車も跳ね飛ばした。

「『そしてあなたのフィールドからジェネクスが墓地に送られたことで、ソーラー・ジェネクスの効果が発動します』」

 太陽のジェネクスが、まるで鳥居の書いた台本に従うかのように正確なタイミングでレーザーを放つ。狙いすまして放たれた、本来ならば彼のわずか400しか残っていないライフを奪い取るほどの一撃。しかし、それが彼の体を射抜く時はついに訪れなかった。彼がその寸前にニゲ馬車の足元から取り出して体の前で構えた、1冊の魔界台本。分厚いそれを最後まで貫くことができず、レーザーそのものが霧散したのだ。

「『ですが、ファンタスティックシアターの特殊な能力を適用。ペンデュラム召喚された魔界劇団が私のフィールドに存在する限り、あなたの発動するモンスター効果は1ターンに1度だけ「相手フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を選んで破壊する」と書き換えられるのです。私のフィールドに伏せカードはわずか1枚、それがこの魔界台本でした。そしてこの瞬間、たった今相手によって破壊されたこの台本……我々にとっても最高にして至高の演目、魔界台本「魔界の宴聡(エンタメ)」の効果を発動!』」

 ステージの両端から白いスモークがたかれ、色とりどりのライトがまぶしくフィールドを照らす。ニゲ馬車の上では女勇者がその剣を抜いてすらりと高く上に掲げると、その合図に応え大きいものから小さいものまでいくつもの影がスモークの中から飛び出した。


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