ターン6 黄金に輝く太陽の炉心
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立って仕方なかっただろうと心の中で頷く。例えるならば英語版のキラー・トマトがずらりと並んでいる中に、1枚だけ日本語版を紛れ込ませるようなものだ。
『だがな、経歴が浅いからって油断すんなよ。青木のおっさんのプロとしての2つ名は「太陽光発電」……すぐにその意味も分かるだろうが、なかなかどうして骨のある相手だぜ。あのおっさんは正直デュエルポリスに来ると思ってたんだけどな……最後に会った時はローンやらなんやらで首が回らないとか言ってたから、まずいとこに金借りちまって断り切れなかったんだろうな。なにせ、薄給のアタシらと違って動く金はあっちの方が桁違いだ』
そこまでの会話を思い返したところで、頭上のスピーカーがタイミングよくがなり立てた。
「さあ、いよいよ準決勝。2回戦の始まりだぜ!今注目度の高いブロックはBブロック、新進気鋭の大型新人の鳥居浄瑠……そして対するは中年の星、輝け太陽光発電!今大会の最年長選手、青木勝!時間も押してるからじゃんじゃん行くぜ、さあ……」
会場に設置された時計の秒針がきっかり真上を向いた瞬間、2か所のデュエルフィールドで同時に試合が始まる。今回は鳥居が先攻であり、じっくりと布陣を整えることができる。
「「デュエル!」」
「『さあさあさあ、ご用とお急ぎでない方はお立会い。これより始まりますは、魔界劇場は第2幕。次なる演目を皆様にお目にかけましょう!』」
大見得を切ったところで、彼は会場の反応から確かなその手ごたえを感じていた。先の1回戦を経て、確実に会場の注目は自分へと注がれている。無論、そうは言ってもまだ大した程度ではない。自分たちの反対側にあるデュエルフィールドではシード枠がデュエルを始めており、つい昨日まで無名の新人でしかなかった自分よりもそちらの優勝候補が注目を集めるのは当然だろう。
しかし、そんなことは彼にとって気にならなかった。大事なのは1回戦よりも会場の熱気が確実に上がっており、それに自分が一役買っているという事実だけだ。視線を集め、熱狂を注がれ、そしてそれを自分が巻き起こす快感。それこそが、彼にとって一番のモチベーションだった。
「『それでは、開演のお時間がやってまいりました。路傍に佇む要石、魔界劇団−エキストラを通常召喚!』」
最初に鳥居が繰り出したモンスターは、上部に穴が開いた小型の円盤のような物体。そこからむくむくと3つの人型が持ち上がり、やがてそれぞれがお揃いの帽子をかぶり赤、黄、緑の3色のチョッキをそれぞれ羽織った個別のモンスターとなる。
魔界劇団−エキストラ 攻100
「『おやおや、これは大変です。エキストラばかりが舞台を練り歩き、肝心の主演役者の皆様が影も形もございません。どうやら彼らはこの大一番に出番を忘れてし
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