第四章
[8]前話
石川と共に移動の術を使ってそうして街に帰った、そのうえで。
歌手に妙薬を渡した、歌手はすぐにその薬を飲んで発声練習をすると声が出た。それで二人に言うのだった。
「有り難うございます」
「声が出ていますね」
「これで歌えます」
テノールの美声で言うのだった。
「お陰で、お礼として」
「お礼ですか」
「薬代も兼ねて」
二人に多くの金を渡した、そしてだった。
二人は冒険者としてお礼の金を受け取りコンサートを聴きに行った、中学生や高校生のグループも詠ってだった。
歌手も歌った、やはり歌手が一番上手でステージもよかった。それでその歌を聴いてそうしてだった。
二人は次の日街を出た、するとだった。
志賀の手にあるものが宿った、それは何かというと。
「これはまた」
「また?」
「凄いものだよ」
「それは確か」
石川は志賀の手に宿ったそれを見て言った。
「沙悟浄の」
「降妖宝杖だよ」
「元は農具だったね」
「そう、農具だから」
それでというのだ。
「農具をね」
「それをだね」
「今手に入ったよ」
「それじゃあ」
「この農具で」
それでと言うのだった。
「戦って」
「そしてだね」
「農業も出来るよ」
「そうだね」
「そして神託を適えて」
志賀はさらに話した。
「強くなったよ」
「そうなったんだね」
「有り難いことにね、ただ僕は」
「ああ、私にしてもだしね」
「戦闘はね」
「どうしてもだね」
「慣れないよ」
このことをここでも話すのだった。
「どうしてもね」
「けれど神託を適えたから」
「強くなったよ」
志賀は石川に笑顔で話した、ハーフオークの顔が綻んでいる。
「全体的に。一回りね」
「それは何よりだよ。ではね」
「次の場所に行こうか」
「そうしよう」
二人で話してだ、そしてだった。
志賀は石川と共に次に自分達が行く場所に向かった、神託を適えても二人にはやるべきことがあった。世界を救う星の者達として。
苦手な話 完
2019・3・16
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