猫娘と回想、I・アイランド編
NO.104 回想《9》 出久達の決断
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出久達は通信機能その他が使えない事に不安に思い、先ほどの放送もありかなり動揺していた。
その中で出久は冷静にパーティー会場に向かおうと提案する。
出久の口から「オールマイトが会場にいる」という旨を伝えられて、それで全員は安堵の表情を浮かべるのであったが、いざ、会場を見渡せる場所まで来てみると一気に不安が拡大した。
そこには顔に傷がある男……ウォルフラム率いる戦闘集団が会場の人たちと各ヒーロー……そしてオールマイトすらも捕縛している光景を目にする。
「(オールマイト!)」
「(緑谷……ダメだ。今言ったらウチ達も捕まる)」
「(耳郎さん……。そうだ! イヤホンジャックで)」
出久の提案に耳郎は地面にイヤホンジャックを刺して、出久はオールマイトに分かるように携帯の光を照らす。
それにすぐにオールマイトは気づく。
「(緑谷ガール!?)」
「(喋ってください。聞こえています)」
それを察したのかオールマイトは小声で話す。
ヴィランがタワーを占拠、警備システムの掌握、島の人たち全員が人質に、ヒーロー達も捕縛された……そして最後に『早くここから逃げなさい』というオールマイトの願い。
「大変だよ、緑谷」
それを聞いていた耳郎は顔を青くさせながらも、そう言う。
事態は思っていた以上に深刻のようであった。
それから一同は非常階段の踊り場で話し合っていた。
当然、飯田はオールマイトの言葉通りになんとかここから脱出して救援を呼ぼうという。
出久達はもちろん、まだヒーロー資格を持っていないためにヒーロー活動ができないのである。
それでは保須市の時と同じことになってしまう。
だが、メリッサが言った。ここの警備はあのヴィラン収容所としては最高峰であるタルタロスと同等の警備システムであるから困難であると。
「そ、それじゃ脱出は困難だし、助けが来るまで大人しく待つしかないのか……」
つい、上鳴が弱気な発言をしてしまう。
ヒーローを目指しているとはいえまだまだ子供であるのだ。
不安に駆られてしまうのは至極当然の事だ。
だが、そこで耳郎が、
「上鳴は、それでいいの?」
「いいの、って……どういう意味だよ」
「助けに行こうとかは思わないの?」
耳郎は先ほどのイヤホンジャックを使った時にオールマイト以外にも他の捕らわれた人々の声を聞いてしまったのだ。
だから、みすみす放っておけないと思っていた。
「だ、だけどよ! オールマイトすら捕まっちまってんだぞ!? オイラ達でどうにかなることなのかよー!」
峰田の本音から来る叫びに、一同は悔しさを感じていた。
轟はおもむろに自身の腕を見ながらも、
「俺達はヒーローを目指している……」
「で、ですから私達はヒーロー活動を……」
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