10
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
街は七十四層の最北端に位置しており、迷宮区、つまり次の階層への階段は最南端にある。アインクラッドは先細りの形をしているため一層目に比べると、七十四層ともなるとかなりサイズ差が出来ている。
序盤の階層攻略に参加したことはないが、それでもレベリングのために冒険はしたのでよく覚えている。一層はかなり広かった。噂に聞くところによると一層辺りである基部フロアの直径は約十キロメートルだったとか。それに比べると七十四層の小さいこと。
微かに残る緑の大地を視界に収めながらモンスターの攻性化範囲を的確に避けつつ迷宮区へと足を進める。隠蔽スキルも併用しつつ、一度もエンカウントすることなく迷宮区へと到着した。フィールドはモンスター同士の感覚が大きく空いてポップするのでエンカウントを回避するのは容易かった。
ごつごつとした岩肌と同居するような形で、迷宮区の入り口はある。中に入ると、不思議な肌質の壁と、ゆるく湾曲した通路のおかげで自分が進んでいると実感しづらいのがこの迷宮区の特徴だ。
このダンジョンのマッピングはかなり進んでおり、もうあと一日二日もしないうちに、ボス部屋の扉が発見されることだろう。SAOのボスはフィールドを先に進むための《フィールドボス》や、その層で発生するクエストのボスなど、それぞれ存在するが、いわゆる《層のラスボス》というのは原則として一体のみだ。フィールドボスにも言えることだが、SAOに存在するボスモンスターというのは、復活はあり得ない。ボス達は、一度倒されると二度とリポップしない。
しかし、今、俺の目の前で凶悪な鋼鉄の輝きを纏う曲刀と円盾を構える竜人《リザードマン・ロード》は、幾度となくこの迷宮区で戦ったモンスターだ。曲刀スキルの熟練度が非常に高いMobで上位ソードスキルも平気で使ってくる、強敵だ。
「ふっ……」
飛び掛かり斬り付け攻撃を、両手剣の鎬、つまり腹で受け止める。通常なら大きく耐久力を減らす行為だが、高い重量値のおかげで、さほどのダメージとはならない。これが片手剣だとかなり耐久値は減少し、細剣だとこの層のグレードでも一発粉砕される可能性もあり得るややリスキーな防御法だ。
火花を散らして、キィンと金属同士のぶつかる剣戟音が通路に響く。防ぐと同時に、押し飛ばしたことでリザードマンは大きく体勢を崩す。筋力値が相当に高くなければ、モンスターを押しのける等出来ない芸当だ。たたらを踏んだ竜人に向けてソードスキルの構えを取る。
「ここ、だっ!」
構えた瞬間に体が問答無用に加速する。大剣はミントグリーンのライトエフェクトを纏い、右方向からの一撃をヒットさせ、さらに回転してもう一撃。両手剣ソードスキル《サイクロン》だ。
ガガッ、ガッとダメージSEと赤い鮮血を模したエフェクトが発生する。リザードマンの装備
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ