第86話
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るものだったとは…………」
「……………………」
リィンとセレーネの話を聞いたクルトは驚き、ミュゼは目を伏せて黙り込んでいた。
「その”歪竜”って兵器を使用する予定はなくても、4基の列車砲による砲撃の可能性が残っているだけで大問題じゃねえか…………ユーディット皇妃陛下、この際クロスベルがバラッド侯が所有している列車砲が強奪される可能性を推測していた件を置いときますが…………”才媛”と称えられている貴女程の才女が何故そんな強硬手段を取る事を決めたんですか?もしそんな事をすれば、例え峡谷方面の列車砲を破壊できても、最悪エレボニアとクロスベルの間に戦争が勃発するかもしれない外交問題が発生する事は十分に考えられる事を予想していなかったんですか?」
「当然その可能性も想定しています。――――ですが、私はオルディスを含めた元エレボニア帝国領方面の”総督”にしてオルディスの民達の命を守る事が義務付けられている”クロスベル側のカイエン公爵家当主代理”です。オルディスの民達を守る為ならば”非情な手段”を取り、その結果他国から憎悪が向けられる覚悟も2年前キュアと共に父の爵位を剥奪し、カイエン公爵家を乗っ取った”七日戦役”の時からできています。」
「ユーディットさん…………」
「……………………」
ユーディットの覚悟を知ったアルフィンは複雑そうな表情をし、エリゼは静かな表情で目を伏せて黙り込んでいた。
「それに逆に聞かせて頂きますが、そもそも北の猟兵達によって強奪された列車砲の砲口がオルディスに向けられない保証がどこにあるのですか?」
「そ、それは…………」
「…………ちなみにオルディスもフォートガードと違って砲撃されていないとはいえ、市民達は砲撃音で混乱しているのですか?」
ユーディットの問いかけに反論できないトワが辛そうな表情で答えを濁している中、サラはユーディットに訊ねた。
「ええ。現在クロスベル帝国軍と遊撃士協会が協力して市民達の避難誘導を行っている最中です。」
「…………ユーディットさん、先程このまま峡谷方面の北の猟兵達が占拠した列車砲による砲撃が続けば、クロスベル帝国軍が保有している列車砲で峡谷方面の列車砲を砲撃するつもりだと仰っていましたが…………逆に言えば、クロスベル帝国軍はまだ砲撃するつもりはないのですわよね?」
「あ………っ!」
「確かに幾らオルディスの民達を守る為とは言え、戦争勃発の原因になりかねない事はそう簡単に実行できないわね。―――ユーディット皇妃陛下、クロスベル帝国軍はいつ頃峡谷方面の列車砲を砲撃する予定なのでしょうか?」
アルフィンの問いかけを聞いてそれぞれが血相を変えている中ユウナは声を上げ、エリゼは納得した様子で呟いた後ユーディットに問いかけた。
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