第85話
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て君はそんなにも”優しくあり続けられるんだ?”」
「えっと………それってどういう意味?」
「異世界であるゼムリアに来たばかりの君が第U分校への編入を希望した理由、そしてブリオニア島でのあの謎の少女との邂逅での出来事………それらは全て君の予知能力によって視えた未来の俺達の戦いに備えたものだ。なのにゲルドは故郷も存在しないゼムリアの為に…………そして会ったばかりの俺達の為に、どうして惜しみない協力をしてくれるんだ?」
「………………………………」
リィンの問いかけに対してゲルドは何も答えず、静かな表情で神秘的な雰囲気を纏ってリィンを見つめ
「…………ゲルドが以前いた世界ではゲルドは何らかの出来事によってその若さで命を失っていた事もエリゼ達から聞いている…………もしかしてその若さで命を失った理由もその”優しさ”が関係しているんじゃないか…………?」
「…………ふふっ、私が”優しい”かどうかはともかく、私が私がいた世界に住むみんなの為に命を失った事は間違っていないわね。」
核心をついたリィンの推測に目を丸くしたゲルドは苦笑しながら驚きの事実を口にした。
「!それは……………………まさか君の視た未来には、かつての君のように何らかの理由によって君が俺達の為に命を落とす未来まで視ているのか?」
ゲルドの話を聞いたリィンは血相を変えた後ある可能性に気づいた真剣な表情でゲルドに問いかけた。
「それは大丈夫よ。今後起こるであろうあらゆる”可能性”を視てみたけど、全てヴァイスハイト皇帝達が異世界――――ディル=リフィーナから呼び寄せてくれた”あの人”が”本来訪れるはずだった終焉へと導く運命”をその人に宿る”正義の意志”によって全て浄化される未来しか視えないもの。」
「そうか…………(ヴァイスハイト陛下がディル=リフィーナから呼び寄せた人物でその人物に宿る”正義の意志”…………まさか…………セリカ殿の事か!?)…………まあ、それはそれでいいとして…………その件とは別に担任として、そして”Z組”と”特務部隊”の関係者としてゲルドに言っておくことがある。」
「?」
「――――例え今後どのような辛い未来が待っていたとしても、決して以前ゲルドがいた世界の時のように自分を犠牲にする事は担任として、そして仲間として俺―――いや、”俺達”が許さないし、絶対にそんな事はさせない。だから、何かあったら一人で抱え込まずに俺やセレーネ、それにユウナ達やリウイ陛下達でもいいから、必ず誰かに相談してくれ。かつてのゲルドはどんな生き方をしたのかわからないが…………今のゲルドは俺達を含めた多くの人達の”輪”の中にいるんだから、ゲルドがその”輪”から外れる事は俺達は誰も望んでいないし、そんな事が起こったらみんな悲しむからな。」
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