第85話
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「うーん、なんだか父親モードになられてしまったような…………まあいいです。それでは教官、おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」
そしてミュゼはその場から去ろうとしたが
「――――そうだ、最後に一言だけ。」
「…………?」
リィンに呼び止められると立ち止まって不思議そうな表情でリィンを見つめた。
「互いに影響を受け、与え合う関係…………いくら君がそれを”制御”できたとしても受ける影響はゼロではいられない筈だ。その意味で、見守らせてもらうよ。君とZ組のみんなを、これから先も。」
「あ…………よろしくお願いします。リィン教官。」
その後ミュゼが列車に戻るのを見送ったリィンも列車に戻ろうとしたが、海岸から吹く潮風と共に聞き覚えのある歌声が聞こえ、それが気になったリィンが海岸に近づくとゲルドが一人海に向かって歌っていた。
「―――――――♪」
(………なんて綺麗で心が洗われる歌声だ…………ゲルドが歌う歌がオペラ歌手並みに上手である事はセレーネから聞いてはいたけど、まさかこれ程とは…………)
海に向かって歌い続けているゲルドの歌声を近くで聞いたリィンはゲルドの歌が終わるまで心の中でゲルドの歌の上手さに感心しながら歌を聞き続けていた。
「―――――――♪ふう…………え…………」
歌い終えたゲルドは一息ついたが、後ろから聞こえてきた拍手を聞いて呆けた様子で後ろに振り向くとそこにはリィンがいた。
「ハハ、途中からしか聞いていなかったが、いい歌だったよ。もしかしてゲルドの故郷の曲か?」
「ううん、『時の向こう側』という歌で私を育ててくれたお祖父ちゃんが私に教えてくれた歌よ。」
「へえ…………という事はゲルドの育ての親である祖父は作曲家か?」
「ううん、確かにレオーネお祖父ちゃんは作曲もするけど楽器や歌も上手いからお祖父ちゃんは”音楽家”よ。」
「”音楽家”…………道理でゲルドは”歌”もそうだが、音楽に関する成績も評価が高い訳だな。」
ゲルドの育ての親を知ったリィンは納得した様子でゲルドを見つめた。
「ふふっ、お祖父ちゃんは昔、世界でも有名な音楽家だったから、そんなお祖父ちゃんに育てられたのだから私の音楽の成績が良い理由は間違いなくお祖父ちゃんのお陰だと思うわ。」
「そうか…………演奏家のエリオットが知れば、そのお祖父さんの事について色々と聞いてきたかもしれないな。……………………」
ゲルドの説明を聞いたリィンはエリオットの事を思い浮かべて苦笑した後気を取り直して静かな表情でゲルドを見つめた。
「?どうしたの、リィン教官?私に何か聞きたい事でもあるのかしら?」
「………君の担任になって1ヶ月、君と接してきてずっと気になっていたんだが…………――――どうし
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